日本サッカー協会(JFA)の公式YouTube「Team Cam」で配信されたドイツ戦直後のピッチ上でのやり取りが話題となった。板倉滉がカメラの前で「トム!トムがもう、トムが!」と冨安健洋を絶賛すると、菅原由勢も「トムがいい! やっぱ世界のトム!」とこれまた大絶賛。確かにドイツ戦の冨安はスーパーで、そう評されるのも頷ける。

 ただ、この動画でもっとも興味を惹かれたのはその後。冨安が「最後(足) 攣ってたけど。いやいやみんなで(勝った)みんなのものだから」と謙虚に話した場面だ。ここに、冨安の人柄が表れている。

 東京五輪開幕前、冨安の恩師(藤崎義孝氏/アビスパ福岡チーム強化部スタッフ)にインタビューした際、藤崎は冨安の人柄を以下のように評していた。

「感情の起伏がなく、決して偉ぶらず、常に淡々」

 素朴でどこにでもいる子。それが冨安だという。

「アカデミーの責任者として学校訪問にも行きました。僕たちが『彼はU−15日本代表ですよ』と伝えて初めて担任が知るみたいな。学校でそういうことを自慢する子ではなく、至って素朴でどこにでもいる生徒。正直、エピソードらしいエピソードがないのがタケです」(藤崎)
 
 加えて、冨安は努力家でもある。

「ジュニアユースの頃から誰よりも早く練習に来て、『先に皆の分も準備しておきます』と言う子でしたからね。自主練して最後までいれば『あとは僕が全部片づけます』と。正直、怒った記憶がほぼありません」(藤崎)

 優等生で努力家なうえに、偉ぶらない。冨安は選手としてだけでなく、人としても「世界のトム」と断言できる。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)