シャビの発言内容が変わった。昨シーズン、ラ・リーガにおいて11回繰り返された1ー0という勝利を手にするたびに選手たちを擁護していたのが、立て続けに相手を5−0で粉砕したベティス戦とアントワープ戦の後は、その戦い方を誇らしげに振り返った。

「監督になって以来、最高レベルのパフォーマンスだった」とチャンピオンズリーグの初陣を快勝で飾った後、バルセロナの指揮官は明言した。

 シャビが監督に就任したのは2021年11月。以来、絶えずチームの刷新が図られ、これまで18の新戦力が加入し34人の選手が退団した。その間、生き残ったのはマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン、イニャキ・ペーニャ、セルジ・ロベルト、ロナルド・アラウホ、フレンキー・デ・ヨング、ペドリ、ガビ、アレックス・バルデの8選手のみ。しかもそのうち攻守の要であるペドリとアラウホが現在怪我により戦線離脱している。

 そんな中、サッカーのクオリティの向上に大きく寄与しているのが今夏の新戦力だ。ベティス戦とアントワープ戦ではジョアン・フェリックス、ジョアン・カンセロ、イルカイ・ギュンドアンの働きがとりわけ顕著だった。

「天からの贈り物だ。最上級だ。ギュンドアンがボールに触れるたびに、プレーに流動性が生まれる」とシャビが絶賛するギュンドアンは、カンセロと同様にジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティから加入した。

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 340万ユーロと唯一移籍金が発生したオリオル・ロメウはラ・マシア育ちだ。こうしたバックラウンドが戦術の習得を助けたとすれば、なおさらジョアン・フェリックスのスムーズな適応は驚きに値する。それはベティス戦とアントワープ戦の2試合で3得点2アシストという数字にも表れている。

 ポジションはいわゆる偽の左ウイングだ。頻繁に中に絞って中盤の選手やロベルト・レバンドフスキと連携しながら、フィニッシュの局面に顔を出す。ポジションに縛られずに、マルチな働きを見せているのはカンセロも同様だ。

 右SBというポジションはあくまで便宜上で、インテリオールとして攻守のつなぎ役を見せたかと思えば、オリオル・ロメウやデ・ヨングの背後をケア。次から次へと数的優位な状況を作り出すバルサの攻撃を2人の“ジョアン”が支えている。

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 さらに相手ゴール付近でプレーしながら、ライン間で受けて、パスを捌くギュンドアンも貴重な働きを披露。こうした新戦力の活躍の恩恵を受けているのは既存選手に他ならない。ガビが本来のポジションであるインテリオールで躍動し、周囲のサポート不足を嘆いていたレバンドフスキはゴールを取り戻した。

 フェラン・トーレスとラフィーニャは印象に残るプレーを見せ、デ・ヨングは持ち前の推進力を発揮。代表戦も含めて、連戦が続いていた若いラミネ・ヤマルを無理して起用する必要性もなくなった。

 タレント力が高まったことで、創意工夫とリソースが生まれ、喜びとゴールが増え、柔軟性とスピードに磨きがかかり、ポジション争いがよりハイレベルになった。ただいくらファンを喜ばせたといっても、ほんの2試合だ。逆境と困難に直面する中、いかに継続性を持ってプレーするかが今後のカギとなる。
 
 バルサが良い方向へ進んでいるのは間違いない。

「何かは分からないけど、勝てるチャンスはあるし、何よりも今シーズンは楽しくプレーできそうだ」

ドレッシングルームで選手たちはこう声を弾ませている。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルサ番記者)

翻訳●下村正幸

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