敵地グディソン・パークで開催されたエバートン戦でも、ブライトンのミニスランプは続いた。復調の兆しを見せる相手と1−1のドロー。試合全体を考えれば、このスコアは公平なものだと個人的には考えている。

 ロベルト・デ・ゼルビ監督率いるブライトンは9月24日のボーンマス戦以来となるリーグ戦での勝利を目ざしていた。しかしながら、前半の早い段階で敵DFのヴィタリ・ミコレンコに先制点を許してしまう。

 同14分にはパスカル・クロスのフリーキックからルイス・ダンクが鮮やかなボレーシュートを決めたと思われたが、VARによりオフサイドの判定が下り、同点ゴールはかき消された。

 シーガルズ(ブライトンの愛称)のボール支配率は80パーセント。しかしエバートンの堅い守りを前に決定的なチャンスは作れずにいた。試合終了が迫った84分に三笘薫のクロスがアシュリー・ヤングに当たって変化し、ゴールに吸い込まれるまでは。

 昨シーズンの5月にアメックススタジアムで両チームが対戦した際には、完璧なカウンター攻撃を見せたエバートンがブライトンを5−1と圧倒した。この試合でも前回同様に、トフィーズ(エバートンの愛称)を率いるショーン・ダイチ監督は、堅守から素早いトランジションを狙う堅守速攻の作戦で臨んだ。
 
 開始4分には、早速ピンチを招き、アブドゥライ・ドゥクレのシュートを、GKバルト・フェルブルッヘンがセーブ。直後の5分には、三笘が縦パスから抜け出してドリブル。相手センターバック、ジェームズ・ターコフスキをかわして左足で体勢を崩しながらマイナスのパスを中央に入れる。残念ながらボックス内に味方の姿はなく、好機は逸した。

 しかしその2分後のミコレンコのシュートはどうすることもできなかった。味方のセンターバック、ルイス・ダンクに当たって大きく変化したボールはトップコーナーに突き刺さったのである。

 前回対戦した際には、ネイサン・パターソンが三笘と対峙した。だが今回エバートンの右サイドバックに入ったのは38歳のベテラン、アシュリー・ヤングだった。ヤングとのデュエルであれば容易に勝てたのだが、右サイドハーフの入ったジャック・ハリソン、守備的MFのイドリサ・ゲイエ、さらにCBのジェームズ・ターコウスキもカバーに入るため、三笘はスペースを見つけ出すのに苦しんだ。

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 数的有利を作り出して三笘に何もさせないようにするというスタイルは、ここ最近の試合で何度も見ている光景である。左ウイングに配された22番一人だけで、好機を作り出すのが難しいのは当然だ。それでも、グディソン・パークで最も危険な香りをさせていたのが、やはりこの日本代表だった。

 前半は低い位置で人数をかけて守るエバートン守備陣を避けるかのごとく、三笘は内側に入ってプレーする機会が多かった。後半になると、迫力が徐々に増していく。67分には、三笘が左サイドでヤングを抜いてボックス内に侵入し、タッチラインぎりぎりまでドリブル。好タイミングで中央にパスを出したが、残念ながら味方FW2人がお見合いをしてしまい、こぼれ球をグロスがシュートしたが大きくバーを越えた。

 79分には、ボックス内で今度は三笘にシュートチャンスが訪れたが、枠を捉えることはができなかった。何をしてもうまくいかず、ブライトンの敗戦濃厚かと思われた。そんな中でチームを救ったのは、やはりこの男だった。
 
 左サイドでボールを受けた三笘はドリブルでハリソンを置き去りにして、即座に左足でクロスを入れる。そのボールがヤングに当たって変化し、ゴールへと吸い込まれたのだった。値千金の同点ゴール。だが強調すべきは、この試合でもデ・ゼルビ監督のチームは三笘に頼ることしかできなかったことだ。
 
 エバートンの206本のパスに対して、ブライトンは851本のパスをコンプリート。一方でシュート数はエバートンの10本に対して、ブライトンはわずか7本。敵将ダイチのゲームプランをもう少しで完遂されそうだった。

 ボールを圧倒的に支配しながらも、決定機がほぼ皆無だった。これで、カップ戦を含めた直近の8試合で1勝しかしておらず、リーグ戦では5戦勝ちがない。果たして、いつになったら昨シーズンのブライトンが復活するのか。いまはただ、待つしかなさそうだ。

取材・文●リッチー・ミルズ(ブライトン番記者)
翻訳●松澤浩三


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