アジア競技大会男子サッカー競技、決勝戦でU-22日本代表はU-24韓国代表と対戦し、1−2と敗れている。

「恥ずかしい」

 お隣の韓国に敗れて準優勝に終わったことで、そんな厳しい反応も出た。「代表のユニホームを着る限りは勝利を…」という意見もあるだろう。たしかに、負けは負けだ。

 しかしながら、この一戦の勝ち負けで、チームを必要以上に叩くことはあってはならない。

 日本は13年ぶりの金メダルを目ざしていたとも言えるが、この大会での必勝を期す以上に、「五輪年代の選手の底上げ」を主眼に置いていた。そして2歳下のチームで挑みながら、カタール、パレスチナ、ミャンマー、北朝鮮、香港を次々と蹴散らしてきたのである。ほとんどフルメンバーの韓国には、力の差を感じさせて敗れたが...。

 日本は西川潤(サガン鳥栖)や松村優太(鹿島アントラーズ)などJ1の選手もいたが、彼らは今シーズン500分程度の出場で、いわゆるバックアッパーばかりだった。GK藤田和輝は栃木SCのゴールマウスを守るが、J2の残留争いをしていた。他は大学生が少なくなく、U−22代表としてもBチームに近いのが実情だった。

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  一方の韓国は24歳以下の選手にオーバーエイジ枠3名も活用し、勝つことだけを目標に大会に挑み、それを果たした。それは彼らにとっての収穫だろう。兵役免除という“ニンジン作戦”も功を奏した格好だ。

 しかし、韓国はサッカーの内容は乏しかった。イ・ガンイン(パリ・サンジェルマン)、チョン・ウヨン(シュツットガルト)などの欧州組やK1リーグのレギュラー選手たちが、個人で局面を打開するだけ。プレーデザインは微塵も感じられず...。

 日の丸を背負って戦ったことで、覚醒する選手が、もしかするといるかもしれない。それは、これからの取り組み方で問われる。貴重な経験と言えるだろう。敗北も糧にした日本の選手たちが、1名でも2名でもパリ五輪代表やフル代表の主力になったら、それで十分な対価となるはずだ。

 振り返れば2018年のアジア大会決勝も、そうだった。日本は年齢差が上の韓国に延長の末に負けている。しかしその後、当時のメンバーだった板倉滉、三笘薫、上田綺世、前田大然、旗手怜央などは現在の代表の主力に名を連ねているのだ。

 敗れた結果を、彼らは正解にした。多くの日本人選手が海を渡り、欧州で力強く足跡を残しつつある。今や日本のフル代表は、韓国を寄せ付けない強さを見せるほどだ。

 今回の大会が評価されるのは、日本にとって3、4年後の話になるだろう。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。


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