EL(ヨーロッパリーグ)の舞台で前回、ブライトンがアヤックスと対戦したのは10月26日のこと。このとき、ブライトンは不振に喘ぐ名門の守備的戦術を一蹴して2−0で勝利した。そして三笘薫が披露したクライフ・ターンは話題を集めた。

 あれから2週間。新監督にジョン・ファン・ト・シップを招いたアヤックスは、オランダリーグで2連勝を飾り、最下位から一気に11位に浮上し、上向きの兆しを見せている。11月9日、ホームスタジアム「ヨハン・クライフ・アレーナ」でのブライトンとの再戦では、前回とは一転して攻撃的な姿勢を示し、ボール保持時にはCBレンチがマンチェスター・シティのストーンズのように中盤に上がっては、試合のイニシアチブを握ろうとした。

 開始まもない10分、ブライトンは敵のビルドアップミスを突いて、ジョアン・ペドロのラストパスからファティが仕留めて先制。53分にはブライトンらしい崩しでアディングラが加点し、前回に引き続き2−0でアヤックスを下した。それでも前半のアヤックスは4−3−3(ボール非保持時)と3−4−2−1(ボール保持時)の可変システムを駆使して真っ向から勝負を挑んだ。後半のアヤックスはシステム変更(4−4−2)が功を奏さず後手に回ったが、それでもラスト10分は捨て身の攻撃で見せ場を作った。

 この日もフル出場した三笘は、アヤックスとの再戦をこう振り返った。

「ホームでやったときと、今回は全然違った試合になりました。後ろからうまく剥がされるシーンも多かった。僕らがうまくショートカウンターで点を取ったから良かったですけど、試合が難しくなるのは分かっていました」

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 68分、三笘はレンチのタックルを鮮やかにかわし、単騎ドリブルからシュートを撃ったがゴールの枠を捉え切れなかった。逆サイドにファーガソンが待ち構えていただけに、ラストパスの選択肢もあった。

「正確にパスを出してもよかった。でも相手が見えたんで、(自分で)撃ったほうがいいかなと思いました」

 もしかすると、このシーンがこの夜の三笘にとって唯一の見せ場だったかもしれない。“規格外の個”を武器にする三笘に二重のマークが付くのを利用して、薄くなった敵の守備を打開することを得意とするブライトンに対し、アヤックスは右SBガーエイ、CBレンチ、MFフォス、FWフォーブス(後半)たちが1対1で止めにかかった。

 時おり、三笘はアヤックス陣内深くまでボールを運んだが、仕掛けのアクションはことごとくストップされた。今季16試合出場(チーム最多タイ)、1356分出場(チーム最多)、9月30日のアストン・ビラ戦から8試合連続フル出場の三笘は、アムステルダムで自慢のドリブルを炸裂させることができなかった。
 アヤックス戦ではミルナー、ダンク、エストゥピニャンとDF陣に負傷退場者が相次ぐなか、疲労の蓄積が懸念される三笘はそのリスクを避けたいところ。彼自身、なにか心がけていることはあるのだろうか。

「いつ、怪我するかも分からない状態なんで、難しいところがあります。怪我したら怪我したで(それまで)と思います。(出場時間を管理しながらプレーするという話は)ないです。もう左サイドに人がいないんで、やっていくしかないです」

 いつ怪我するかも分からない状態――。その言葉を、“サッカーというスポーツには常に怪我する可能性をはらんでいる”と受け取るべきだったかもしれない。しかし、溜まっている疲れを自ら案じていると捉えることもできた。

「いや、疲れというか」と、彼はいったん否定してから続けた。

「毎試合100%でうまく調整できているわけではないですけど、70%、80%でしっかりと作れてはいます。僕も100(%の力を)出そうとしていますけど、ピッチに入ったら意外と動かなかったりする。それは”(サッカーで)あるある”なこと。そのなかでどれだけいいプレーができるかだと思います」
 
 中2日でプレミアリーグ、対シェフィールド・ユナイテッド戦を戦ってから、三笘は日本代表のワールドカップ・アジア予選に挑む。

「負けられない試合なんで、全員で力を合わせて勝つことが大事かなと思います」

 10月の代表活動を辞退したものの、いまなおブライトンでは労働過多の三笘。ワールドカップ予選では試合の展開に応じ、早め早めの交代を必要とする選手のひとりになるだろう。

取材・文●中田 徹

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