[W杯アジア2次予選]日本 5−0 シリア/11月21日/ジッダ(サウジアラビア)

 11月21日にサウジアラビアのジッダで行なわれたワールドカップ2次予選のシリア代表対日本代表は、5−0で日本が勝利した。

 堅守速攻で知られる歴戦の名将エクトル・クーペルが率いるシリアは、決して簡単な相手ではなかった。システムは[4−1−4−1]を用い、本来は右SBの3番アブドルラフマン・ウエスを右サイドハーフで起用するなど、守備的なハードワーカーを増やした。

 日本が得意とするサイドアタックに対しても、SBとCBの間に空くハーフスペースは、インサイドハーフが徹底して埋め、対抗。仮に破られても即時カバーリングと、ゴール前のスペース封鎖を行ない、日本が入れるクロスをはね返した。

 またシリアは球際に強い選手が多く、メンタリティも闘争心に溢れている。この非常に固い守備に対し、日本はCKから一本の決定機を迎えたことを除けば、ゴールの匂いが乏しく、30分までは苦戦の気配が漂っていた。決して日本のプレーが悪いわけではない。シリアの守備が際立っていたのだ。

 この類のしぶとい相手とアウェーで戦えば、大体苦戦するのがアジア予選の習わし。ところが、この第二次森保ジャパンは違った。32分、均衡を破ったのは遠藤航と菅原由勢のライン間への潜り込みだ。

 それまでの日本はポゼッション時、[2−3]ないしは[2−2]で後方をリスクマネージメントしていた。

 CB谷口彰悟と冨安健洋が、最後尾でFWオマル・アルソマへの逆襲のロングボールに備え、その前にはアンカーの遠藤が立つ。遠藤の両脇には両SB菅原と伊藤洋輝がポジションを取る、[2−3]だ。この形から、アタッキングサードでは菅原や伊藤が前へ出て攻撃に加わり、後方は[2−2]へ。そうやって順番にバランスを取りながら、日本は攻撃を構築した。
【PHOTO】日本代表のシリア戦出場16選手&監督の採点・寸評。スコアラーと指揮官に7点台の高評価。MOMは4Aの14番
 しかし、これではシリアを崩し切れない。30分ごろ、それまで谷口と冨安の前に錨を下ろしていたアンカーの遠藤が動いた。遠藤が前へ行き、相手のライン間へ潜ってインサイドハーフを釣り出す。すると、伊藤がサイドを変えたパスから菅原もインナーラップして相手アンカーを釣り出した。もう1枚のインサイドハーフは守田英正が対峙している。後方は伊藤と両CBが残る[2−1]の形となり、リスク許容度を上げた。

 相手の守備の要である中盤の3枚を、遠藤、守田、菅原の動きですべて釣り出すと、久保建英の眼前、ペナルティエリア前にスペースが空いた。伊東純也からパスを受けた久保は、少しドリブルで持ち出すと、稲妻のごとく左足を一閃。ミドルシュートがゴールに突き刺さった。久保のシュートも世界級だったが、スペースを作り出した仲間の連係も効いた。

 その後、守備プランが崩れたシリアには焦りが出たのか、続く37分、日本がGK鈴木彩艶まで戻したボールを中途半端に深追いし、中盤にスペースを空けてしまった。

 緩いプレスをかわした日本は、オーバーラップした伊藤のクロスから、ファーサイドで伊東が折り返し、上田綺世が押し込んで2点目。さらに40分には、右サイドのスローインから伊東、久保、菅原が3対3の状況を突破し、伊東の短い折り返しを、再び上田が押し込んで3点目。すべてが美しいファインゴールだった。

 苦戦の気配が漂ったかと思えば、小さなきっかけから、たった8分間で電光石火の3ゴールだ。後半も2点を加え、5−0で圧勝した。

 繰り返すが、シリアの守備は固かった。相手の動きが落ちる後半までは我慢を強いられると、筆者は覚悟した。少なくとも前半に3点も奪えるような相手ではない。

 しかし、彼らは取った。アウェーで、あまりにも見事に。第二次森保ジャパン、このチームは過去の日本代表の常識を超えている。

取材・文●清水英斗(サッカーライター)

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