バルセロナは、わずか1か月半の間に、チャンピオンズリーグ(CL)のグループステージにおいていずれも格下のアントワープ戦で「かつてないほど素晴らしい試合」を披露し、シャフタール戦で「最悪な試合の一つ」をしでかした。これはジャーナリスティックな視点による分析ではなく、シャビ監督の評価である。

 注目すべきは、シャビが最近、ジョアン・ラポルタと同じ趣旨の発言をしている点だ。両者の間にはバルサが最も輝いていた時期の主人公だったという共通点があるが、長年にわたって失われた偉大さを即座に取り戻そうとすれば、中間地点も規則性も見出すのが難しくなる。ラポルタは黄金期の会長で、シャビはキャプテンの1人だった。しかし、どんな実績も成功を保証するものではなく、バルサではなおさらである。

 シャビにとっては大きな挑戦だ。昨シーズン、ラ・リーガを制覇した後、「サッカーの質を向上させる」ことを目標に掲げ、シーズンに臨んだ。しかしクラシコでは、「チームとしての実力はうちが上だ」というラポルタの発言に反して、バルサは敗北(1−2)を喫した。

 クラブの主導で拡散されているプロパガンダは、勝利することが当然のように、過去を切り離して現在とリンクさせるように、クラシコに来場したローリング・ストーンズの音楽に合わせてレバーが動くように、クレ(バルサファン)の想像の中に一線級の選手を擁するチャンピオンチームを視覚化させることに成功した。イルカイ・ギュンドアンがクラシコ敗北後に露わにしたフラストレーションの源泉はそうしたリアルとバーチャルのギャップにあったのかもしれない。

 偉大さとは、努力、謙虚さ、学習によってのみ得られる。バルサは野心を忘れ、初心者のようなミスを犯しても、まるで重要なチームであるかのようにプレーし続けている。

【動画】「しびれたなー」「普通にワールドクラス」と驚嘆の声!王者バルサを翻弄した久保建英の“鬼キープ”
 その迷走する姿は、苦痛を抱えた魂のようでもある。移籍市場がオープンするたびに陣容に手を加えた結果、ゴールの決め方が分からなくなり、秩序やシンクロした動きを失い、連動したプレッシングができなくなった。

 シャビが監督に就任してから2年が経過したが、いまだにチームとしての個性が見えてこない。バルサがプレーの仕方を忘れる中、ライバルチームは一様にその対策方法を心得ている。

 問題は心理的なものでなく、サッカー的なものであり、一時的なものでなく、構造的なものだ。シャビに求められているのは、選手たちの疑問に答えること。チームを預かる監督が最適なキーを見つけるだけで問題が解決できると考え、バルサスタイルのイロハを説明するために練習場に戻らないのは良くない兆候だ。

 一刻も早くメソッドの手順を取り戻し、公式を導き出さなければならない。「なぜ今負けるのかを知るためには、なぜ以前、勝てていたのかを知らなければならない」とヨハン・クライフは言った。ジョルディ・クライフやマテウ・アレマニがクラブを去り、デコが新たにやって来たのは偶然ではない。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルサ番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

「日本人は怒っていた」久保建英、バルサの俊英に苛立ちか。現地メディアが指摘した理由は?「試合終了後も収まらず...」
 
なぜ久保建英はPKを蹴れなかったのか。キッカー2人が不在でボールを持つも...指揮官が顛末を明かす「何の疑いもない」

「ワールドクラス」久保建英に贈った敵将シャビの賛辞は“リップサービス”だったのか? 内田篤人の主張「記者が聞いてるんだよね? 俺が言いたいのは...」