ドイツ代表のユリアン・ナーゲルスマン監督は、前任者のハンジ・フリックと同じ道を歩んでしまうのか。

 クラブと代表は違う。だからチーム戦術やシステムは可能な限りシンプルであるべきと語っていたのは他ならないナーゲルスマン自身だったはず。

 だが、11月18日にベルリンで開催されたトルコ代表との親善試合(2−3)でドイツのサッカーファンは目を疑っただろう。カイ・ハバーツが左SBの位置にいたのだ。同じ景色は、21日に敵地ウィーンで行われたオーストリア代表戦(0−2)でも見られた。

 ナーゲルスマンはトルコ戦後に、この起用法を疑問視されると、「典型的な左サイドバックとしての役割を担っているわけではない。それに彼はいいプレーをしていた。チームの中でベストプレーヤーの一人だった」と反論している。

【動画】スーパーゴール続出!ドイツ対トルコのハイライト
「3バックでビルドアップをし、2人のジョーカーでボールを運ぶ。ユリアンはそうした形を好む」という表現をしたのは、オーストリア代表ラルフ・ラングニック監督だ。

 タッチライン際で上下動を繰り返す選手ではなく、ワイドな位置からゴール方向への起点を作り、ボールを配給し、ゴール前へと上がっていく役割。トルコ戦も、オーストリア戦もそうした見地で見たら、悪いプレーをしているわけではない。後者ではなるほどと思えるプレーもあった。ただそれが果たしてチームに安定感をもたらしているかといわれたら、難しい。

 オーストリア戦後の記者会見で、ドイツ人記者から改めてナーゲルスマンは見解を求められた。

「カイがサイドバックじゃないという批判に対してだが、ラウムもゴセンスもとてもオフェンシブな選手だ。彼らにしても典型的なサイドバックという選手ではない。ヘンリクスはライプツィヒで右SBとしてプレーしている。監督として独断でやっているわけではない。選手とコミュニケーションを取って、フィードバックを受けながらやっている」

 わからないわけではない、だが心から納得いくわけではない回答に対して、質問をしたドイツ人記者は少し顔をしかめて、それからうなずいていた。
 
 ホッフェンハイム時代にナーゲルスマンに指導を受けたオーストリア代表MFフロリアン・グリリッチは、冗談めかしてこんなことを言っていた。

「ホッフェンハイム時代くらい細かく、全体的に落とし込もうとしていたら、間違いなく難しいだろうね」

 ナーゲルスマン自身は「戦い方はシンプルに」と口にしているし、本当に“シンプルに”取り組もうとしているのかもしれない。だが、彼にとっての「シンプルさ」は、選手にとってどこまでシンプルなのか。

 ホッフェンハイムやRBライプツィヒの監督時代、ナーゲルスマンは「戦術ではなく、大事なのはプレー原則。それが試合におけるプレー判断の基準になるし、それがあればシステムや戦い方を変えても選手は迷わない」ということを言っていた。いまのドイツ代表には、まさにそうした「プレー原則」が感じられない。
 
 アメリカ遠征で上手くいっていたボランチへの見せ球は影を潜めた。ビルドアップ時にパスの出口を抑えられたらそこから次のバリエーションがない。ロングボールを蹴ってもセカンドボールを拾えない。

「オーストリアの鋭いプレスに問題を抱えた。セカンドボールになかなか行けないのも問題だった」

 36歳の若き指揮官はオーストリア戦後にそう指摘していたが、では誰が、どこで、どのようにセカンドボールを回収すべきだったのか。ボックス・トゥ・ボックスタイプのゴレツカは守備ラインのすぐ前でスペースカバーの役割を担うが、これもはまらない。そもそもゴレツカは守備で力を発揮する選手ではないはず。ボーフム時代に18歳でトップデビューした時には「バラックの再来」と期待されたオフェンシブMFだ。

 ギュンドアンは奮戦していたが、やらなければならない役割が多すぎるのが気がかりだ。ドイツが抱えている問題を一人の選手ですべて解決はできない。

「ファンからの心配、批判的なメディアの声。でもそれの中に沈み込むのではなく、批判を受け入れて、我々はもっとハードにやらなければならない。自分たちのプレーをピッチにもたらせるように。メンタリティとエモーション、クオリティ。それぞれが必要だ」(ナーゲルスマン)

 かのヨハン・クライフの有名な言葉に「サッカーはシンプルなスポーツだ。だがシンプルにプレーするのが一番難しい」というのがある。それをいまナーゲルスマンは誰よりも感じていることだろう。

取材・文●中野吉之伴

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