10月26日、日本代表の三笘薫を擁するプレミアリーグ(イングランド)のブライトンと、エールディビジ(オランダ)のアヤックスがヨーロッパリーグのグループリーグ第3節で対戦している。ホームのブライトンが、2−0で快勝を収めたわけだが...。

<プレーコンセプトの追求と鍛錬>

 それを思い知らされるゲームだった。

 ブライトンは、ボールを握る、つなぐ、敵ゴールに迫るという強度、精度で差を見せつけた。ボールホルダーに対し、常にサポートが一人二人三人と現れる。その角度や距離感まで、トレーニングの中で向上させているのがひしひしと伝わる。そもそも、そのプレーを実現させるためのキャラクターを持った選手が集められていた。

 三笘はその仕組みの中で、異彩を放っていた。左サイドでボールを受けると、攻撃へのスイッチを入れる。GKからのロングパスのトラップ一つで観客を沸かせた。

 前半終盤、キックに定評のあるルイス・ダンクからの縦パスを、バックラインの前のスペースで三笘が呼び込む。その際、アンス・ファティが下がって、相手MFを釣る動きがあった。瞬間的にフリーになった三笘は、リズミカルなボールタッチでシュートコースを作り、右足を小さく鋭く振り抜いた。シュートはGKが弾いたところ、味方でポジショニングや柔軟な技術に優れるジョアン・ペドロが押し込んだ。
【動画】先制点を演出!三笘が切れ味鋭い仕掛けから強烈なシュート

 ブライトンは、自分たちが突き詰めてきたサッカーで、先制することに成功したと言えるだろう。三笘を筆頭に、それぞれの選手が継続的に能動性を発揮。絶え間なく、アヤックスのゴール前に迫った。

 一方、前半のアヤックスは守備を固めてきた。4−4−2のミラーで、ブロックを作り、リトリート戦術。できる限り、攻め手を与えない、耐え凌ぐ、言わば“弱者の兵法”だった。は0−0で前半終盤まで推移し、うまく行きかけていたとも言えるが...。

アヤックスは、チーム伝統の攻撃重視のプレーコンセプトをかなぐり捨てたも同然だった。ブライトンと同じような攻撃コンセプトで集められたはずの選手たちに、受け身で耐え抜くサッカーを強いた。それはいくら不調と言っても、信念への背信行為だった。

 後半、リードされたアヤックスは、ようやく積極的に攻撃に出る。一時は攻め合いを演じ、可能性も感じさせた。ボールありきのゲームで対抗するだけの選手はいるだけに...。

 しかし、アヤックスは徐々にペースを失っていった。それは昨シーズンの主力がごっそり抜け、開幕から監督が解任されるなど、力負けという側面もあっただろうが、プレーコンセプトを捨てた報いだろう。後半から巻き返し、というのは虫が良すぎた。

 ブライトンは「ボールありき」の戦いを貫き、勝つべくして勝ったと言えるだろう。

文●小宮良之

【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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