2月27日のKNVBカップ準決勝、カンブール対NECは「カンブール・スタディオンの最後のビッグゲーム」と謳われた。新スタジアムが完成間近ということもあり、現スタジアムは87年間の歴史に幕を閉じることが決まっている。2部リーグ所属のチームが決勝戦に進出すれば、NEC以来30年ぶりの偉業になる。
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 だから、試合は異常な雰囲気のなかで行なわれた。キックオフ10分頃から前半終了にかけて、大音量の花火がスタジアムのすぐ外から上がり続けたのだ。24分にはカンブールがCFウルドリキスのヘディング弾で先制し、スタジアムの盛り上がりに輪をかけた。

「あれはヤバイよ。あれはダメ。こんな仕打ちをするんだって...。花火がうるさくコミュニケーションが取れなかった。相手が1点取って、さらに雰囲気を作ってきた。『嫌なムードだな』と感じた」(小川航基)

「完全アウェーだった。花火で隣の選手の声も聞こえなかった。プレスのタイミングで俺が『ゴー!』って言っても全然届かない。そこでのズレが生じて難しい部分があった。花火の灰がけっこう目の中に入ったんです(苦笑)」(佐野航大)
 
 この逆境を日本人コンビがゴールで跳ね返した。

 60分、MFチャロン・シェリーがCKをニアポストに蹴り、小川がハーフボレーで同点ゴールを叩き込む。今季公式戦11ゴール目を決めたザ・ストライカーはポーカーフェイスを崩さず「嗅覚ですね」と言った。

「前に潰れる選手がいたりして、みんなの入るタイミングが良かった。でも良いゴールだったですね。チームとしてあのゴールはデカかった」(小川)

 ヒーローになったのは佐野。延長前半、右からの折り返しを、右足ダイレクトでゴール左隅に蹴り込んだ。

「なんにも考えてなかった。キーパーのポジションも何も見ず、ともかくゴールに向かって蹴ったら、キレイに当たってないんですけれど『入っちゃった』みたいな感じでした。撃った瞬間、すごいスローに見えた。シュートがスローだったのもあるんですが。すごく嬉しかった」(笑)
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 こうしてNECは2000年以来、5度目のファイナルに進出した。デ・テレフラーフ紙の大見出しは「フリースラント州で日本人のビクトリー」。昨夏、オランダに渡った日本人コンビの大仕事だった。

 佐野にとっては、これがオランダでの初ゴールだ。

「ファジアーノ岡山のときにホームで初めてゴールを決めたときもあんな感じでした。『なんか持ってるな』って感じですね。準々決勝のADOデン・ハーグ戦(3−0)は(現川崎フロンターレのファン・ウェルメスケルケン)際くんと航基くんが決めて自分は決めれなかった。結果を残したい気持ちもあったし、それ以上にチームに貢献したいという気持ちが強かった。自分のキャリアにつながる特別なゴールでした」(佐野)

 高校サッカーの強豪校で揉まれてきた小川と佐野。はたしてNECもまたトーナメントを勝ち上がるにつれて成長してきたのか?

「ホント、高校生と一緒ですよ。チームの雰囲気は生き物というか、本当に勢いがあればトーナメントの中でも成長していけるし、それがリーグに反映される。僕らは(2月9日)リーグ戦のアウェーで0−2でRKCに負けてしまいましたが、そこから立ち直ったのが一番。あそこで立ち直れなかったら、俺たちの成長は雰囲気だけだったということになってしまう。ちゃんと実力というか、みんながやることが備わってきている。チームとして成長しているのを感じます」(小川)

「カップ戦で勝ち上がるにつれて優勝したいという気持ちもチームとして大きくなってきました。今日の最後も『We go to Final』という声がけもあった。NECの歴史を作るという意味でも、ここは懸けないといけない。すべてを懸けないといけない大会だと思います」(佐野)
 
 決勝戦は4月21日、場所はスタディオン・フェイエノールト(通称デ・カイプ)だ。NECと当たるのはフェイエノールトか、それとも2部リーグのフローニンヘンか。

「ファイナル、楽しみですね。僕は(J2リーグとU−19アジア選手権優勝を除いてチームのビッグタイトルを)獲ったことがないので。1年目でもし獲れたら大きい」(小川)

「僕たちは優勝するためにやることをやるだけ。変わったことをすることもない。NECの歴史を塗り替えるために。絶対に勝ち獲りたいです。(米子北高時代)インターハイの決勝戦で青森山田に負けた悔しさを繰り返したくない」(佐野)

 カップ戦でファイナル進出、リーグ戦で7位と好調のNECは、守備的なチームから一転、攻撃的なサッカーでオランダのサッカーファンを魅了している。その中で、ふたりの侍が輝きを放っている。

取材・文●中田 徹

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