パリ・サンジェルマンに所属するイタリア代表MFのマルコ・ヴェッラッティは、自身が比較されることが少なくない同胞アンドレア・ピルロ(ニューヨーク・シティ)と役割が異なると繰り返してきた。その先人もまた、現代サッカー界にはレジスタがいないと考えているようだ。
 
 イタリア紙『コッリエレ・デッロ・スポルト』が、現地時間3月26日、ピルロのロングインタビューを掲載。そのなかで、レジェンドによる「レジスタ論」を紹介している。
 
 スピードが重視される現在のサッカーにおいて、戦況を見極めゲームをコントロールするレジスタという役割をこなすのは難しいのだろうか。ピルロは、「頭のスピード次第だ。それが速くなければいけない」と、重要なのは“考える速さ”だと明かした。
 
「ボールを受けたときには、誰に渡すか、仲間がどこにいるか、その時点で分かっていなければいけない。チームのプレーバランスを取るのだからね。チーム全体があのポジションに懸かっている。レジスタのボール回しが遅ければ、全体が遅くなるんだ。レジスタがプレーを速められれば、相手が準備を整えられない。サッカーでは足だけじゃなく、頭も走ることができるんだ」
 
 だが、まさにチームの“頭脳”と言うべきレジスタと呼べる選手は減りつつある。同世代のシャビはカタールのアル・サード所属とすでに第一線を退いており、バイエルンのシャビ・アロンソは今シーズン限りでの引退を発表。5月で38歳になるピルロは今後を担う若手レジスタについて、「正直、僕のようにプレーする選手はいない」と語っている。
 
「優秀な若手はたくさんいるけど、僕のようなレジスタではない。ヴェッラッティは大好きだが、僕のようなプレーじゃないし、インテルの(ロベルト・)ガリアルディーニも好きだけど役割が異なる」
 
 では、なぜレジスタがいなくなったのか? ピルロは、「見つけるのが難しいからだ。たまにしか生まれないのではないか」と、そもそもレジスタの絶対数が多くないと指摘する。
 
 そのうえで、子どもたちにサッカーを教える際に、現代では技術よりフィジカルや戦術が重視されているのではないかとの質問に、次のように同意している。
 
「技術的に優れた選手は減っている。技術は気にかけるべきだ。速い選手やフィジカルな選手はいるが、彼らに美しいフィードやファンタジーのあるタッチ、優雅なドリブルはできない。確かに最近は技術レベルが少し落ちた」
 現代フットボールで減りつつある類まれな技術を持つピルロが指導者になれば、レジスタはまた増えていくのかもしれない。ニューヨーク・シティとの契約が残り1年となった元イタリア代表MFは、今後について「未定」としつつ、指導者転身の可能性を排除することはしなかった。
 
「今のところ、指導するのは好きじゃない。でも、3、4か月経ったら考えるかもしれない。『絶対に監督はやらない』と言っていたのに、やっている元チームメートたちもいる。辞めてからスイッチが入るということじゃないかな。ピッチとの最高の関係を続けるためにね」
 
 実際、ピルロにとってはミラン時代の恩師であるカルロ・アンチェロッティをはじめ、アントニオ・コンテ、ジョゼップ・グアルディオラ、マッシミリアーノ・アッレグリ、ジネディーヌ・ジダン、ルイス・エンリケなど、MF出身の優れた指揮官は多い。

 そんな中でピルロは、「ピッチでたくさん考えるからじゃないかな。彼らのようになれるなら、すぐに監督をやることにサインするよ」と条件を付け加えたうえで、監督になることに前向きな姿勢を見せた。

 数年後には「ピルロ監督」の姿が見られるかもしれない。