「エイバルに所属する乾貴士選手について、どのような印象をお持ちですか?」

 7月13日、楽天がバルセロナとのパートナーシップ開始に関する記者発表会を東京で開催。そのイベントに出席するため、リオネル・メッシやネイマールらとともに来日したバルセロナのMFアルダ・トゥランに、運良くインタビューする機会を得た。

 そこで冒頭の質問をぶつけてみる。すると、通訳の方が質問を訳し終える前に、アルダは質問者に向かって声をあげた。

「最終節(昨シーズン)に俺たちから2ゴールを奪った彼か!」

 リーガ・エスパニョーラでのプレー歴は6年。アトレティコ・マドリー時代には10番を背負ってプレーした経験もあるトルコの名手は、真剣な表情でこう続けた。

「タカシは素晴らしい才能を持った選手だ。まず、リーガの舞台であれだけ安定して活躍できているという事実が、優れたプレーヤーの証と言えるだろうし、いまのエイバルに不可欠な存在と言えるんじゃないかな」

 同じ日本人として、こちらまで嬉しくなってしまうほどの大絶賛だ。では具体的に、乾のなにが素晴らしいのか。

「彼がいちばん輝くのはボールを持ったとき。とにかく、ボールの“つかみ方”がいいんだ。あのボールキープこそ最大の持ち味だと、俺は思っているよ」

 リーガ・エスパニョーラはこれまで、多くの日本人選手にとって憧れの舞台であると同時に、「鬼門」でもあった。40試合以上プレーしたのも、2シーズンをフルに戦い切ったのも乾が初めてで、スペインでは挫折を味わった選手のほうが圧倒的に多い。

 アルダにその事実を伝え、「スペインで成功するための秘訣」を訊いてみた。

「日本人だから成功できないというのは、ただの思い込みだ。日本にだって上手い選手はたくさんいるし、スペインや他の国の選手と比べて、なにかが特別劣っているとも思わない。まずは努力して苦手意識を克服すること。そうすれば、リーガでもたくさんの成功者が生まれるはずさ」

 日本人はスペインで活躍できない――。それは、アルダが言うようにただの思い込みなのだろうか。乾に続く日本人の成功者が現われるのを楽しみに待ちたい。

取材・文:竹田 忍(ワールドサッカーダイジェスト編集部)