ベルト・ファン・マルバイク以来となるクラブ史上2人目のオランダ人指揮官、ペテル・ボシュを新監督に招聘した新生ドルトムントが始動した。


 今夏、初のテストマッチとなったロート=ヴァイス・エッセン(4部)戦でよもやの敗北(2-3)を喫したものの、7月15日の浦和レッズ戦では先制を許しながら、エムレ・モル(2得点)、アンドレ・シュールレのゴールにより、意地の逆転勝利(3-2)を飾った。
 
 ボシュは監督試合後、「今回はフレンドリーマッチでしたが、勝てて非常に嬉しい」と、ドルトムントでの初勝利に喜びを隠さなかった。
 
 浦和戦のドルトムントは、4-3-3でスタートした。ボシュが前所属先のアヤックスで主に用いていたフォーメーションだ。
 
「どういう選手がいるか把握すること」(ボシュ)を図っている段階だからか、あっと言わせるようなコンバートや若手の抜擢はなく、スタメンの顔ぶれや配置に意外性はなかった。
 
 強いて挙げるなら、昨シーズンは第2GKだったロマン・ヴァイデンフェラーの先発出場と、ユベントス移籍の噂が浮上しているDFリーダー、ソクラティス・パパスタソプーロスのベンチスタートくらいだろう。
 
 新体制が始動したばかりで、劇的なまでの変化は見られなかったが、ボールを支配して攻撃的に振る舞おうとする意思ははっきりと窺えた。
 
 ビルドアップする際に多用していたのはショートパス。ロングフィードの優先順位は低く、まずはDFラインからアンカーのヌリ・シャヒン、あるいはインサイドハーフのゴンサロ・カストロやセバスティアン・ロデにボールを預けることを徹底していた。
 
 トーマス・トゥヘル前体制下とは異なり、ボールポゼッション時にSBが高い位置に張り出さないのも、新監督流と言えるかもしれない。
 
 ややワイドに開いた2CBのあいだにアンカーが降りてきて最終ラインを3枚にしてから、ビルドアップを始めるような試みは見られなかった。激しいポジションチェンジなどもなく、選手全員が忠実に自分の持ち場でプレーしていた印象だ。
 興味深い発見があったのは、浦和のCK時。ペナルティーエリア内で守るドルトムントの選手は7人のフィールドプレーヤー+GKで、残りの3人をハーフウェイラインぎりぎりの高い位置に張らせていたのだ。
 
 ただ、CKから2失点したように、このアイデアは完全に裏目に出た。特に2失点目は、浦和のCB遠藤航を完全にフリーにさせる大ポカ。CKの守り方は、今後に注目すべきポイントのひとつとして挙げられる。
 
 先頃、2020年夏までの契約延長にサインした香川真司が、新体制でどう起用されるかも興味をそそられるところだろう。
 
 出場しなかった浦和戦のシステムに当てはめるなら、4-3-3の時はインサイドハーフ、3-4-2-1の時は2シャドーの一角になるのではないか。ただし、同じ攻撃的MFのマリオ・ゲッツェが3列目で試されていた事実を踏まえれば、香川もセントラルMFでテストされる可能性は十分にありそうだ。
 
 来月6日(日本時間)には今シーズン初となる公式戦、王者バイエルンとのドイツ・スーパーカップが控えている。それまでにドルトムントは、ミラン(18日)、ボーフム(23日)、エスパニョール(29日)、アタランタ(8月2日)と手合わせする予定だ。
 
 そのなかでボシュ監督は、チームをどう仕上げていくのか。「攻撃的に、観客が『良いサッカーを観た』と言えるサッカーを目指す」と明言している新監督のチーム作りに、引き続き要注目だ。
 
取材・文:遠藤 孝輔