まさに急転直下の展開でヘタフェ入団が決まった柴崎岳。1年でリーガ・エスパニョーラ1部への返り咲きを果たした昇格クラブは、はたしてどんな狙いを持って日本代表MFを獲得したのか。

 マドリードの地元紙『CAPITAL DEPORTE』が7月18日付けの紙面で「東洋の才能がヘタフェへ」との見出しを付け、特集を組んだ。
 
 多くのスペイン・メディアにとって今回の移籍はノーマークで、寝耳に水だったようだ。同紙は「シバサキのマネジメント会社とヘタフェは誰には悟られることなく、秘密裏に交渉を進めた。どの媒体も噂にさえ上げられなかったのだから、驚きだ。しかもその移籍先が、テネリフェと昇格プレーオフ決勝で戦ったヘタフェになるなど、予想だにしていなかった」と認めた。
 
 柴崎自身のプレースタイルについては、「2部での彼の働きを知らなくとも、昨年末のクラブワールドカップ決勝を思い出してもらえばいい。そうだ、あの試合でレアル・マドリーを相手に2得点を挙げた日本人選手だ」と前置き。「メディアプンタ(トップ下)で力を発揮する選手で、両足で正確なキックができるなど確かなクオリティーを持つ。戦術眼と配球のセンスが素晴らしく、テネリフェではシーズン終盤に攻撃の核となっていた。中央からサイドに流れてスペースを作るのも巧く、周囲と絶えず連携しながら攻撃をリードしていく」と、他のメディアとは一線を画すレベルの分析だ。
 
 気になるポジション争いはどうか。同紙は「現状で先発は厳しい」と見ている。「なぜなら、中盤の攻撃的な位置には不動のコンビがいる。ダニエル・パチェコとフランシスコ・ポルティージョで、監督(ホセ・ボルダラス)の信頼が厚い。ただ、3人同時起用はあり得る」と記し、含みを持たせた。
 
 今後への懸念事項に挙げたのが、柴崎自身のフィジカル。入団当初のテネリフェで適応障害などに苦しみ、出遅れたエピソードに触れ、そこに加えて「最大の弱点はフィジカル」と指摘している。ボルダラス監督は選手全員にハードワークを求めるため、技巧に長けただけの選手ではついていけないと説明。そのうえで、「シバサキにとってはいい参考例がある。ポルティージョだ。攻撃性能が突出するばかりだった彼もいまでは、チーム屈指の汗かき役。シバサキに関しても指揮官がちゃんと導くだろう」と期待を込めた。
 
 しかしながら、ヘタフェがその柴崎の「創造性」を高く評価したのも事実。獲得の理由はずばりそこにあると、同紙は考えている。

「ボルダドス監督のもと、『魅惑』をキーワードにスタイルを磨き上げてきた。長らく忘れていたアンデンティテーを、ついにヘタフェは取り戻したのだ。今回シバサキを獲得したのもそれを促進させるためで、実際に最適な人材だと思える」と書き綴った。
 
 カウンター志向が強かったテネリフェよりも、細かいパスを繋いで攻撃を構築するヘタフェは、柴崎のプレースタイルにより合致するチームだろう。だが先述のとおり、中盤のポジション争いは熾烈を極める。同紙は「主軸はほぼ全員が残留しており、昨シーズンからのベースが拠所だ。2部で確固たる骨格を成したいま、いよいよチームとして収穫の時を迎えようとしている」と、ポジティブな見解を示した。
 
 はたして、スペイン挑戦の第2幕はどんな展開を見せるのか。柴崎の奮闘に期待したい。

 リーガ・エスパニョーラの開幕は8月11日の予定。開幕の対戦カードなどの詳細はまだ決まっていない。