セリエA6連覇中の絶対王者ユベントスが、誤算続きの夏を過ごしている。

 ユーベが今夏、早々に合意にこぎつけ正式契約間近と目されていたのが、サンプドリアで台頭したチェコ代表の逸材FWパトリック・シックだ。しかし、このほど獲得を断念。7月18日に公式発表された。交渉破談の理由までは公表していないが、現地報道によれば心臓の問題が発覚したからだという。

 シックはU-21欧州選手権に参戦中の6月22日にクラブを訪れ、メディカルチェックを実施。4年契約を結ぶ見込みと報じられていたが問題が見つかり、7月13日にはローマで再検査を受ける運びに。ところが、これもパスできなかったようだ。

 往年の名手デニス・ベルカンプを彷彿させる優雅なプレーと破格の決定力を武器に、昨シーズン後半戦に一躍移籍マーケットの注目銘柄に躍り出たシック。いち早くその新星の獲得に乗り出し合意にこぎつけたユーベは、貴重なバックアッパーとして大いに期待していた。それだけに、今回の一件により少なからずダメージを被りそうだ。

 4-2-3-1を基盤に4人のアタッカーを並べるユーベの前線は、ゴンサロ・イグアインやパウロ・ディバラといったワールドクラスを擁する一方で、欧州の頂点を狙ううえで十分な選手層とは言い難い。攻撃のバリエーション不足を露呈し、レアル・マドリーに完敗した昨シーズンのチャンピオンズ・リーグ決勝は記憶に新しい。

 バイエルンから迎えたドグラス・コスタを含めて、現時点で前線の戦力としてカウントできるのは6枚(先述の3選手に加えマリオ・マンジュキッチ、ファン・ギジェルモ・クアドラード、マルコ・ピアツァ)。そのうちピアツァは3月に痛めた膝が完治しておらず、クアドラードには移籍の噂が絶えない。

 また、冬に契約して今夏に加入した“イタリアのアリエン・ロッベン”ことリッカルド・オルソリーニをアタランタにレンタルに出したのは、シック獲得を断念する4日前。いまとなっては悔やまれる選択だ。

 首脳陣は現在、フェデリコ・ベルナルデスキの獲得に力を注いでいるが、フィオレンティーナの抵抗もあり、交渉は一筋縄ではいかなそう。実現したとしても、それに伴い出場機会の減少が予想されるクアドラードの去就はいっそう不透明になる。いずれにしても、戦力的な厚みは不十分なままだ。

 ダニエウ・アウベスの契約解除希望(パリ・サンジェルマンへ)、レオナルド・ボヌッチの退団志願(ミランへ)に続き、今夏で三度目の誤算に見舞われたユーベ。強化戦略の見直しを余儀なくされかねない状況だ。

文:ワールドサッカーダイジェスト編集部