ロシア・ワールドカップ出場まで、あと1勝。ただ、酒井宏樹はそれが簡単なミッションではないことを理解している。
 
「次のオーストラリア戦(8月31日)はホームゲーム。でも、だからといって勝てる保証はない」
 
 慎重なスタンスにならざるを得ないのは、ワールドカップ予選の厳しさをピッチで感じているからだ。
 
「連れて行ってもらった4年前のワールドカップと比べると、『こんなにきついのか』って感じです。なかなか味わえないですよ、ここまでのプレッシャーは。毎試合、いろんな思いが湧き出てきます」
 
 プレッシャーを肌で感じるようになって、改めて気付いたのが本田圭佑という男の凄さだ。
 
「圭佑くんの経験値はちょっとランクが違います。ここまで背負ってきたものが本当に大きい。だから、批判を受け止めたうえでメディアに発信できるし、監督にも自分の意見をストレートに伝えられる」
 
 背負ってきたものが大きい──。日本代表のレギュラーとしてプレーするようになったからこそ、本田がこれまでやってきたことの偉大さが本当の意味で理解できた。
 
 だから酒井は、イラク戦後の本田のコメント──「(ヴァイッド・ハリルホジッチ)監督にはやりたいサッカーがしっかりとあって、それをストレートに伝えてくる。ただ、若い選手は聞きすぎてしまって、うまく消化し切れない」──にも、理解を示す。
 
「(ハリルホジッチ)監督の理想は高くて、それに選手たちが追いついていないのが現実。とはいえ、監督の理想をそのまま体現すればといいわけではありません。監督は戦い方の選択肢を与えているだけで、それをどう解釈し、応用するか。言われたことだけやるというスタンスでは、成長なんてできませんから」
 
 日本代表での本田の存在意義──。それは、「改めて経験が重要だということを教えてくれた」という酒井のひと言に凝縮されているのではないだろうか。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)