[U-23アジア選手権予選]日本 2-0 カンボジア/7月21日/プノンペン
 
 7月21日に行なわれたU-23アジア選手権予選・カンボジア戦は、なんとも“アジア予選らしい”試合となった。序盤から日本をフルにリスペクトして守りを固めてきた相手に対し、若き日本代表は外からの攻撃で次々と得点機を作るも、「いつもの課題」(内山篤監督)である決定力を欠いて得点ならず。0-0という重苦しいスコアのままに時計の針は進んでいった。
 
 同日に行なわれた別グループの予選で韓国が東ティモールに0-0のドローとなったように、アジアといえども予選はやはり簡単ではない。東南アジア諸国全体が底上げされてきていることも間違いない。さらに言えば、中1日での3連戦となる第2戦はマネジメント面でも難しい。日本はフィリピンとの試合から11名全員を入れ替えるターンオーバー策でこの試合に臨んだが、小さからぬリスクもある戦略だ。なにしろ大声援を贈るサポーターを背に戦うカンボジアが第1戦で中国と引き分けた勢いそのままに挑んでくるのに対し、日本の選手はほとんどが「大会初戦」なのだ。代表公式戦初出場という選手もいるなかで、メンタル面でも簡単ではない試合になった。
 
 ゴールが生まれたのは後半も半ばを過ぎた72分のこと。DF柳貴博(FC東京)のクロスがファーに流れたところをMF遠藤渓太(横浜FM)が冷静に流し込んで、試合を動かした。喜びを爆発させる様子からは苦しかったゲーム内容も窺えると同時に、あらためて“絶対に負けられない”マインドになってしまうアジア予選の難しさも感じさせた。
 
 もっとも、「いい勉強になった部分もある」と内山監督が言うように、若い選手にとっては強烈なアウェーの雰囲気も、引いて守る相手に取れそうで取れないままズルズルいってしまう試合展開も、最後にそれを打ち破った成功体験も、それぞれ貴重な経験値となる試合だったことは間違いない。
 
 そして、初招集組や代表常連ではない選手たちが第1戦に続いて輝いてくれたのも、3年後の東京五輪まで続く、この代表の戦いにとってポジティブな材料だった。
 この代表では勝負の大会のメンバー入りを常に逃してきた柳が右サイドバックとして躍動。チャンスを量産して決勝点をアシストするなど存在感を見せた。

 ボランチでは飛び級招集の高校3年生・伊藤洋輝(磐田U-18)が得意のボールさばきに加えて大胆な攻撃参加も見せるなど、あらためて“二個上”のチームに混じっていけるだけの資質があることを証明。

 FW中坂勇哉(神戸)も潰されてしまうシーンもあったが、勘の良い顔出しとドリブルでの打開という持ち味は見せた。そして初戦4得点のFW小松蓮(産業能率大学)は、「結果を出し続ける」という言葉どおりに交代出場から2点目のゴールを奪い、有言実行。あらためてストライカーとしての可能性を見せ付けた。
 
 そしてもちろん、U-20ワールドカップ組が確かな実力を見せたのも忘れてはいけない。焦りそうな試合展開の中でも中山雄太と板倉滉のCBコンビ、そしてボランチの市丸瑞希は落ち着いた球出しでチームに安定感をもたらしていたし、カウンターに対するスキも作らなかった。遠藤は1得点・1アシストと数字を残すマン・オブ・ザ・マッチ級の働きぶりでチームを勝利に導いてみせた。
 
 第3戦の相手は2歳年長のメンバーで構成されているアジアの眠れる獅子・中国。元富山、福岡のDFコ・ジュンイがキャプテンを務めるチームは、ここまでチームとしては必ずしも良いパフォーマンスを出せていないのだが、個々の能力はやはり高い。日本戦ということでモチベーションもあるだろう。

 1位抜けしか確実に予選突破とならないレギュレーションなのだから、やはり負けるわけにはいかない。その上で「引き分けでも1位なわけだから、焦らないで戦う」(MF高木彰人=G大阪)という、内山監督が今年に入って特に強調してきた“大人の試合”を見せる機会となる。
 
取材・文:川端暁彦(フリーライター)