[J1リーグ22節]C大阪4-2浦和/7月22日/ヤンマー
 
 試合開始から10分も経たないうちに2度の咆哮がこだました。
 
 浦和戦で圧巻の2ゴールを奪ったのは杉本健勇だ。まず6分、CKの流れから相手DFの足が一瞬止まった隙を見逃がさずに水沼宏太の右からのクロスを丁寧に流し込んだ。そして、2分後には左からの柿谷曜一朗のクロスをヘッドで豪快に決めた。
 
「自分のキャリアのなかではなかったんじゃないかな」と、振り返る見事な3試合連続ゴール。得点後のパフォーマンスは「クールに決めたい」と語っていたが、3月に完敗を喫した浦和には「絶対に負けたくない」という感情を抱いていたからだろう。いつも以上に吠えまくる杉本の姿があった。
 
 187センチと長身ながら高いテクニックも誇る男は、これまで器用さを買われて中盤で使われる試合も多かった。現にJ2を戦った昨季は2列目やシャドーを主戦場とし、チームトップの14ゴールをマーク。昇格の原動力となった。「開幕前にはサイドのポジションでどれだけやれるのか楽しみだった」とも話す。
 
 しかし、ユン・ジョンファン体制となった今季は指揮官にCFに固定された。ボールを受けるために下がりすぎることを禁止され、ゴール前での仕事により集中するようになった。すると眠っていた得点力が開花した。これまでのJ1での自己最多得点は、2015年に1年だけ在籍した川崎で奪った6ゴールだった。しかし、今季は浦和戦での得点を含めて、すでに10ゴールに達した。リーグトップの興梠慎三(12ゴール)の背中も見えてきた。
 
 本人も得点王を意識しているという。
 
「今日は浦和ではラファエル(・シルバ)とズラタンが取って、興梠選手だけは取らんでくれと願っていました(笑)。(CBの)山下、ヨニッチ頼むと(笑)。ただ、僕がチャンスを決めていれば追い付けていたはずですが……」
 その言葉通り、浦和戦ではゴールシーン以外にも多くのチャンスを迎えた。
 
 9分には山村和也のスルーパスに抜け出して冷静にシュートを放つもポストに当ててしまい、34分には柿谷からのパスを受けて左サイドでフリーになったが、今度はGKに阻まれた。
 
 他の試合でもなぜそれを外すのかというシーンは少なくない。ただ、裏を返せば決定的な場面に顔は出せているということだ。常々、課題として「チャンスを決め切る力を身に付けたい」と語っているが、今後、コンスタントにゴールを稼げれば、初の得点王だって夢ではない。自ずと目標としている日本代表へも近づけるはずだ。
 
 さらにゴールを量産すれば、開幕前から口にしていた「優勝」も現実味を帯びてくる。
 
 器用なFWから、真のストライカーへ急成長を続けるなか、大きな夢へ一歩でも近づけるか。
 
「あんなに早い時間に点を取ったからハットトリックをしたいと思っていました。でも欲が出すぎて周りが見えなくなったのが今日の課題。もっと冷静に判断したかった。パスを出せば、ゴールになっていたシーンもあったので、そこは修正したいです」
 
 浦和戦後には反省も忘れなかった。今の調子を持続できれば、実りあるシーズンを過ごせるのは間違いないだろう。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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