「前回は悔しい想いをしたので、ホームでしっかり勝たないといけないと思っていた」
 
 山口蛍が語ったように必勝を期して臨んだ浦和戦は、序盤から一気に攻め立て、前半だけで4ゴールを奪った。前半のうちに2失点したのは反省材料だが、2節(3月4日)で対戦した際には手も足も出なかった相手に痛快なリベンジを果たしたのだから、選手たちの表情が一様に明るいのも当然だろう。
 
 いまだホームで無敗。11節の柏戦に0-1で敗れて以降の9試合は8勝1分とハイペースで勝点を重ねる。シーズンの半分が過ぎた段階で、リーグ初優勝の可能性を考えるのは時期尚早かもしれないが、今のC大阪には“必勝パターン”になりつつある心強い守備戦術がある。
 
「65分過ぎくらいからはいつも通り上手く進められた」。そう振り返るのは、浦和戦で2ゴールを奪った杉本健勇だ。彼の言葉通り、この日も試合の締め方は実に上手かった。リードして迎えた後半、ユン・ジョンファン監督は必ずと言っていいほどあるシステムへの変更を指示する。それを可能にしているのがトップ下の山村和也だ。
 
 今季、トップ下にコンバートされた山村は、7ゴール・2アシストと攻撃面で望外の結果を残しているが、守備面での渋い仕事も光る。山村はリードを得た後半には最終ラインに下がり、ストッパーへと“転身”。従来の4-2-3-1でCBを組む山下達也、マテイ・ヨニッチとともにゴール前に堅牢な壁を築き、敵の攻撃を撥ね返すのだ。この5-3-2システムは毎試合、高い強度を誇る。
 
 当の山村は「僕が後ろに下がるということは守備を固める合図なので、絶対に失点をしたくない。今日も上手く守れて良かった」と語る。
 
 山村のポジション変更はいわばスイッチで、チームは素早く守備モードにシフトする。現に前述の柏戦に敗れて以来、後半に失点したのはわずか2回。点の取り合いとなった11節の広島戦(5-2)、16節の新潟戦(4-2)だけだ。
 
 リードすれば、守り切れる。そんな自信が今のチームからは感じ取れる。さらにユン・ジョンファン監督の下では守備だけでなく攻撃の質もアップ。ここまでリーグ2位の39得点をマークしている。
 
 攻守が噛み合ったチームはどこまで好調を維持するのか。次節の大阪ダービーに勝利すれば、さらに勢いは増すはずだ。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
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