今季のC大阪で最大の発見と言えるのが、 トップ下にコンバートされ、ブレイクを果たした山村和也だ。 これまでボランチやCBを主戦場としてきた彼がなぜ、 攻撃的なポジションで輝けたのか? 

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 今季からセレッソ大阪の指揮を執るユン・ジョンファン監督は、前線の高さを強化しようと、3節の札幌戦から山村和也をトップ下で起用した。果たして、このコンバートは見事なまでにハマった。
 
 山村は18節を終えて、CFの杉本健勇に続くチーム2位の7ゴールをマーク。そのフィニッシュパターンは多彩で、長身を生かしてセットプレーやクロスに合わせるだけでなく、強烈なミドル(9節の川崎戦)、最終ラインの裏に抜け出してのシュート(13節の神戸戦)、 意表を突くトゥーキック(14節の新潟戦)など様々な形からネットを揺らした。
 
 さらにパス、キープ、ドリブルといったオールマイティな能力から、一部では“桜のジダン”とも称され、日本代表に推す声も聞かれる。
 
 振り返れば開幕前の宮崎キャンプでの練習試合には、山村はボランチとして出場していた。「もう少し集中させる必要があった」などと、ユン・ジョンファン監督は事あるごとに厳しい言葉を投げかけていたが、それも期待の裏返しだったように思う。
 
  一方で、チームにはレギュラーボランチのソウザと山口蛍がおり、山村は3番手という 立ち位置だった。そのなかで指揮官は3人の併用を模索した。
「攻撃面で凄く才能がある選手だなと、キャンプの時から興味深く見ていた。ヘディング に加え、足もとの技術も良い。スピードが少し足りないが、運動量は豊富でチームにプラスをもたらしてくれる」
 
 山村の攻撃面での能力に着目していた指揮官は、開幕から1分1敗と勝利を得られずに迎 えた3節の札幌戦で、スタメンの入れ替えを決断する。そこで選択したのが山村のトップ下起用だった。
 
 すると、札幌戦こそ引き分けたが4節の鳥栖戦では山村が決勝ゴールを奪い、チームにリーグ戦初勝利をもたらしたのだ。その後も背番号24はトップ下で躍動した。
 
  山村は不慣れなポジションへの挑戦についてこう語る。
「ちょっとずつですが、良い距離感で守備も攻撃もできるようになってきました。周りのサポートが早くて助けられています。ユン(・ジョンファン)さんからは無駄な走りが多いことや、前線での動き方、具体的には(杉本) 健勇との距離感のところなどを指摘されています。ゴールまでの過程でもたついたり、ボールの収めどころとして、いまいちな試合も多 い。やればやるだけ課題は見つかります」
 
 つまりは、トップ下としてまだ進化の途中ということなのだろう。それだけに今後、山村がどんな変貌を遂げるかで、チームの未来も大きく変わってくるはずだ。
 
取材・文:前田敏勝(フリーライター)

※『サッカーダイジェスト』2017年7月27日号(同13日発売)より抜粋。一部加筆修正して転載しました。