プリンスリーグ北信越で11試合・17得点。富山一のFW坪井清志郎の実力は伊達ではない。
 
 持ち味はスピードに乗ったドリブルと無理な体勢からでもシュートを打てる身体能力の高さ。Aチームでの出場機会を掴んだ2年次の昨年も速さを活かした突破から見せ場を作ってきたが、肉体強化によって当たり負けしない自信と身体を手に入れた今季は、強引にフィニッシュまで持ち込む場面が増えた。積極的にシュートを狙い、ゴールラッシュの原動力となっている。
 
 ポテンシャルの高さは、インターハイ2回戦の米子北戦でも垣間見えた。ただ、馬力溢れる単独突破だけでなく、カターレ富山U-15時代からコンビを組むFW大竹将吾との連係も交えたところに成長がうかがえる。
 
 以前は「お互いに主張が強くて、元々は連係が良くないふたりだった。2トップを組んでも1トップがふたりいるような感じだった」(柳野年秀コーチ)が、インターハイ前に実施した大学生との練習試合で変化が訪れる。これまで曖昧だったふたりの距離感や関係性を整理した結果、息の合ったコンビネーションプレーが増えたのだ。
 
 そうして迎えた米子北戦、まずは開始直後に引き気味の位置から大竹が入れた縦パスに反応し、シュートを放つ。そして前半18分には持ち味である身体能力でチャンスを演出。DF中田青(年)のロングスローをボレーで合わせた。
 
 しかし、チャンスを作りながらも、前半は無得点。「サイドから良いボールが上がっていたのに、決めきれなくて苦しんでしまった」と坪井が振り返るように、相手を押し込んではいたが、決して良い流れとは言えない試合展開だった。
 
 それでも後半18分、ペナルティエリア右でルーズボールに反応すると、ドリブルで仕掛けたところを倒されPKを獲得する。

 自らがキッカーに名乗り挙げるかと思われたが、「プリンスや練習試合でも外しているんで、PK苦手なんです。流れのなかから点を獲りたいし、きっちり決めてくれる人に任せようと思いました」との理由でキッカーを譲ると、大竹がこれをきっちり決めて先制。この1点を守り切り、1−0で3回戦へと駒を進めた。


 苦しいなかでも、チームを勝たせるプレーを披露し、エースとしての貫録を示したが、試合後に坪井から出てくる言葉から満足した様子はない。
 
「インターハイに来てから1点も獲れていないので、まだ自分は北信越レベルなのかなって思います。チームが勝てていることは嬉しいけど、満足はしていないし、むしろ悔しいくらい」
 
 今年の目標として掲げるのは高卒でのプロ入りだが、現時点で具体的な話はない。多くのサッカー関係者の目に留まる今大会は、いわば就活の場で「結果を残さないとプロに行けない」と意気込みは強く、勝っただけでは満足できない。明確な結果を残し、自らの将来を切り開けるか。3回戦以降の坪井からも目が離せない。
 
取材・文:森田将義(フリーライター)