中村駿太にとっては、最初で最後のインターハイだ。
 
 3月、ジュニア時代から籍を置いてきた柏レイソルの下部組織から、青森山田への転籍を決意した。トップチームに昇格できないかもしれないという危機感があったにせよ、高体連の檜舞台で活躍し、自身のキャリアの糧にしたいという想いが去来した。
 
 あれから4か月。U-19日本代表のストライカーは、ついに憧れの舞台に立った。7月30日、2回戦で対峙したのはプレミアリーグWESTの強豪、東福岡だ。
 
 青森山田は序盤からペースを掴み、前半20分にMF田中凌太が先制。後半は修正してきた敵の反攻を受けるも、逆に後半9分に突き放し、リードを広げた。終盤は1点を返されてヒヤリとする場面もあったが、アディショナルタイムにMF郷家友太が3点目を奪って豪快に寄り切った。
 
 中村は4−2−3−1システムの頂点に陣取り、巧みなポストワークとスペースメイクでつねに攻撃を促進。得点こそなかったが、この日は名黒子に徹して快勝劇を支えた。
 
 坊主頭で“小さなロナウド”と呼ばれてきた中村だが、自身はスタイルが似るアルゼンチン代表のセルヒオ・アグエロやカルロス・テベスを参考していると話していた。そんな生粋の点取り屋に、青森山田での日々や高校サッカーへの想いを訊いた。
 
 やはり、発信力が半端ない若者だ。
 
――インターハイデビューは3−1の勝利に終わりました。まずは感想をお願いします。
 
「初めて東福岡という高校サッカー界を代表するチームと対戦して、すごくモチベーションも高く臨めました。個人的にはゴールという結果を残したかったんですが、あちらの2センターバックがずっと食いついてきてたんで、サイドバックとの間にけっこうスペースがあった。1点目や2点目はそこを味方のサイドの選手が突いて、フリーで決めてくれました。なので、それなりに貢献はできたかなとは思ってます。まあでもやっぱり、自分が決めれてたら、すっきりしてたとは思います」
 
──青森山田のチームメイトは、ボールを持ったらまずは中村選手を見て、早めに当てますよね。それをしっかり懐に収める。信頼関係があればこそかと。
 
「なにを置いても守備は、僕たちのストロングポイントだと思うんです。高い位置でしっかりボールを奪える。で、奪った時には誰かが助けてあげないといけない。僕はいちばん前にいるわけで、そこでちゃんとボールを受けれる動きをしなければいけない。すごく意識してますよ、そこのところは。チームを押上げなきゃいけないですから。何回かは失なってしまうんですけど、最近は少しずつその仕事にも慣れてきて、良くなってると思います」
 
――インターハイという大会は、独特の雰囲気がありませんか?
 
「そうですよね。去年まで僕はこの時期、クラブユース(選手権)に出ていました。インターハイは決勝をテレビで観たりニュースで結果を知ったりというところでしかなかったので、不思議な感じです。今日はすごいお客さんで、1回戦や2回戦でこんなに入るなんて信じられないです」
 
――今日はカードがカードだったんで特別多かったと思いますが。
 
「だとは思うんですけど、じゃあクラブユースで強豪同士が予選リーグで戦うとなっても、こんなには来ないですから。やっぱりモチベーションも上がるし、このなかで自分を表現したいって思わせてくれる。どんどん欲が出てきますよね。これまではそういう風に感じたことがなかったんで、すごく楽しかった」


――チームに加わって4か月強です。どうでしょう。クラブユースとは異なり、ひとつのチームが紆余曲折を経て成長していく過程を見るというのは、なかなかなかったのでは?
 
「少しずつチームが、右肩上がりに成長していくのを肌で感じてます。黒田監督が導いてくれるのがやはり大きいし、小山内キャプテンの存在もそう。言いにくいこと、きついことを言ってチームを引き締めてて、チームとしてもみんなで良くしようと一人ひとりがつねに考えている。だから、逸れそうになってもみんなで持ち直せるんですよね」
 
――青森山田のサッカーにも慣れましたか。
 
「やっとですね。ここ1か月くらいですか。自分の動きを周りが理解してくれて、合うようになってきた。友太(郷家)は以前から代表でも一緒にプレーしていたんでやりやすいんですが、同じく中盤で素晴らしい技術を持っている脩大(堀)からもいいパスが引き出せるようになってきました。正直、最初はなかなか合わなくて苦しい頃もあったんですけど、いいコミュニケーションを取ってきて、なんとかここまで来れましたね。もう4か月かって言われるけど、僕にしてみたら、まだ4か月かって感じです(笑)」
 
――今後の個人的な課題はどういったところに?
 
「フォワード1本だと、プロではなかなか厳しいと思うんです。身長は高くないですから。少し下がった位置とか複数のポジションでもやれればなお良いですし、どんどん幅を広げていきたい。いろんな攻撃的なポジションで、僕の特徴であるゴールを決めるというところ、その意識の高さを示していきたいですね。そうすればもっと使いやすくて、いい選手になれると思うので」
 
――緑色のキットもすっかり見慣れましたね。
 
「試合数はそうとうこなしてますからね。意外と緑が似合ってるんじゃないかと思ってます。とりあえず、誰にも似合わないとは言われてないので(笑)」
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWen編集部)