プレミアリーグWEST所属の難敵を向こうに回し、薄氷を踏みながらもなんとか勝ちを拾った。
 
 7月31日のインターハイ3回戦。前回覇者の市立船橋は、阪南大高を2−1で下してベスト8に進出。朝岡隆三監督は「突き放すパワーとメンタリティーが足りなくて、受けに回ってしまいましたね。厳しい試合でした」と振り返った。

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 そしてエースFWの出来について問いかけると、少し不満そうな表情でこう続けた。
 
「そろそろ雷を落とさないといけないかな。今日なんてほとんど競り合いに勝ててなかった。彼なら、もっとやれる。僕はそう思っているのでね」
 
 熱血漢の視線の先にいたのは、ナンバー11を背負うストライカー、福元友哉だ。
 
 大会初戦となった2回戦・東海大星翔戦で先制ヘッドを決め、この阪南大高戦でも後半6分、相手DFから強引にボールを奪って猛進し、左サイドの角度のないところからゴールネットを揺すった。市立船橋はリードを2点に広げ、その後PKで1点を返されるも、2−1で勝ち切ったのだ。2戦連発、しかも勝利を手繰り寄せる貴重な2ゴール。ひとまずは、エースの面目躍如といったところだろう。
 
 だが、指揮官のみならず、福元自身もまるで満足はしていない。
 
「点が取れたのは良かったんですけど、得意の競り合いでぜんぜん勝ててなかったし、守備での貢献も低かった。自分としてはオフサイドラインから戻って動き直すのが得意なんですが、そこも何度かオフサイドにかかってしまって、攻撃のリズムを止めてしまった。反省点が多いですね。監督からも、つねに今以上のものを求められてます」
 
 最終学年を迎えた182センチのストライカー。じつは、FWとしてのキャリアはまだ1年弱と浅い。
 
 横浜F・マリノスジュニアユース出身で、中学時代はサイドハーフが本職。市船に来てからサイズとパワーを買われてCBにコンバートされたが、「ゴール前の守備がぜんぜんできなくて」、今度はボランチが主戦場に。そして高2の秋、公式戦でFWとして試されて結果を残してからは、最前線が根城となった。「最初はできるかなという気持ちもありましたけど、得点に絡むプレーがやはり好きだったんで、すごく嬉しかった」と回顧する。
 
 

 やがてメキメキと頭角を現わし、冬の選手権では見事にレギュラーの座を奪取。だがチームは2回戦敗退という不本意な結果に終わり、「僕が決められなかったから勝てなかった。チームは無失点で大会を終えたのに、不甲斐ない。責任を感じました」と語る。
 
 3年生になってからは試練が続いた。春先から公式戦でなかなか結果を出せず、控えに降格しただけでなく、Bチーム行きを命じられてしまうのだ。
 
「いっかい落ちて、あらためて自分を見つめ直しました。必死に練習に取り組んで、紅白戦もそれこそガムシャラにやる。ここから這い上がってやるぞという強い気持ちで」
 
 インターハイ予選前に晴れてレギュラーに復帰。点取り屋としては自身も認める通り、粗削りな部分が否めないが、壁にぶちあたってもしっかり進化を遂げられるのは、謙虚さとひたむきさが根底にあるから。7月にはサンフレッチェ広島の練習に参加し、大きな刺激を受けたという。
 
「とにかくみなさんシュートが巧くて、驚かされた。とくに一緒にシュート練習をさせてもらった工藤(壮人)選手がスゴかったです。ホンモノを見せてもらって、もっとシュート技術を磨かなきゃいけないと思いました」
 
 チームに戻ってからもいいイメージを持って練習に取り組んだ福元。さらにプレミアリーグEAST・9節の横浜ユース戦で、かつて薫陶を受けた指導者の方から、となるアドバイスをもらったという。「ゴールを見ないで撃ったほうがいいぞ、あまりボールにパワーが伝わりすぎると良くないから、力を入れないで撃ってみればいい、と。そこを意識したらけっこう練習でも入るようになって、少しずつなんですが、感覚が掴めてきました」。阪南大高戦のゴールは、中央へのパスを選択してもいい局面だったが、迷わず右足を振り抜いた。
 
 未完成で発展途上。貪欲になんでもかんでも吸収する。だからだろう、計り知れないポテンシャルを感じさせる。
 
「僕がゴールを決めないとチームは勝てない。それだけの決意をもって大会に臨んでいます。今大会は2試合続けてストレスがかかってますが、こういうのを乗り越えて、しっかり結果に結び付けていきたい。自分の進路を考えても、この大会でどれだけ戦術レベルで通じるかだと思うんです。次(準々決勝)の関東第一戦でも勝ちにこだわって、個人としてもチームとしても先につながる戦いにしたい」
 
 最後に「マルコ・ファン・バステンを彷彿させるね」、と最高の誉め言葉を送ったつもりが、世代間の壁は予想以上に高く、「すいません、知りません」と切り返された。
 
「そうだなぁ。理想にしてて、参考にしているのは大迫(勇也)選手です」
 
 本格派ストライカーへの道をひた走る福元友哉。いまだ伸びしろは十二分だ。この真夏の仙台で、次はどんな新境地を開くのだろうか。
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)