試合後、敗戦の将となった青森山田・黒田剛監督は、淡々と冷静に試合を分析した。
 
「全体的に甘かった。前半からうちのペースだったが、(追加点を)獲るべきところで獲れず、前半最後の7、8分のところで流れを盛り返された時にコーナーを与えて、失点。獲られるリズムのところで獲られる。そこでもうひと踏ん張り、ふた踏ん張りできるようにならないといけないのに、怠慢なプレーが多く見られた。本当にまだまだということ」
 
 昨年度の選手権決勝と同じカードとなったインターハイ3回戦の青森山田対前橋育英。黒田監督の言葉通り、開始5分にMF田中凌汰が幸先よく先制し、その後もリズム良くボールを動かしながら、ゲームを優位に進めた。しかし、追加点が奪えず、31分に左CKを簡単に折り返され、DF角田涼太朗に同点弾を決められてしまう。
 
 その直後の35分に鮮やかな崩しから、MF壇崎竜孔がGKと1対1となる決定的チャンスを迎えるが、放ったシュートは前橋育英GK湯沢拓也のファインセーブに阻まれた。
 
 そして、後半開始早々の37分に再び左CKを与えると、そこからMF塩澤隼人に逆転ゴールを奪われてしまう。ここから前半とは真逆の展開となり、前橋育英の分厚い攻撃の前に終始後手に周り、60分に決定的な3点目を決められ、勝負あり。青森山田のインターハイは3回戦で幕を閉じた。
 
「正直、ちょっとした慢心があったと思う。プレミアも上位にいて、昨日東福岡を倒したことで、そういう部分での勘違いがあった。怠慢なプレーがディフェンス陣やサイドに見られたことが凄く気になる。オフ・ザ・ボールでもっと相手をきっちり抑えないといけないのに、簡単に走り込ませてしまったら厳しい。あれだけ裏を取られるから、CKにせざるを得なかった。CKを簡単に与えて、2失点。この甘さがこの差になった」
 
 今大会は青森山田にとっては不運な面もあった。初戦でいきなり東福岡と対戦し、勝利を収めたものの、非常に強度の高いプレーを強いられた。その翌日には冬のリベンジに燃える前橋育英を真っ向から迎え撃つ。この2連戦は相当なタフなものであった。

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「正直、あの一戦(東福岡戦)でかなり疲労度が高くなってしまった。決勝戦みたいなカードが2日間連続である訳だから、相当厳しかった」と、黒田監督も認めた。

 しかし、「でも、覚悟して臨んだ。なのに、この結果になった。サブの選手を含め、もっと戦えるようにならないといけないと感じた。こういう連戦は勢いが重要で、チームとしてサブを含めたパワーが必要になる。これは去年のチームより明らかに足りない。理想だけ喋ればいろいろ出てくるけど、まだまだ精神的に甘いなと思う」と、敢えて手厳しい言葉を口にした。
 
 青森山田は今後、石川県の和倉ユースサッカーフェスティバルに参加するなど、強化合宿に入る。
 
「どんなチームに対してもコンスタントに戦えるチームを作らないといけない。まだまだ甘いと選手に伝えたし、8月は妥協を許さないようにやっていきたい」
 
 どんな相手、どんな条件でも勝ち切れるチームに──。

 青森山田はこの敗戦を糧に、地獄の8月に突入する。すべては、冬に笑うために。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)