浦和レッズは8月1日、堀孝史新監督のもとで、初めての練習を行なった。トレーニングのあと、柏木陽介が『恩師』であるミハイロ・ペトロヴィッチ前監督への想いを語るとともに、堀新体制下での巻き返しを誓った。
 
 まず、ミシャ(ペトロヴィッチ前監督の愛称)前監督の解任を受けて、柏木は自責の念にかられたという。
 
「みんなでまとまっていこうという気持ちでやってきたけれど、それが結果に結び付かなかった。監督が代わってしまい悲しいという想いよりも、まず自分自身に対する不甲斐なさしかない。決して頑張っていなかったわけではなかったが……。ただ、この練習までには切り替えようと思ってやってきた。しっかりとなにか堀監督と成し遂げられるように頑張っていきたい」
 
 2012年からの5年半、柏木はミシャ体制下で常に主力としてプレーしてきた。広島時代にも、その薫陶を受けてきた。そんな大きな存在であるペトロヴィッチ前監督への想いを、柏木は次のように語っていた。
 
「僕は常にミシャの気持ちであり想いを心の中に持って、ずっとサッカーをやっていきたいと思っています。俺の人生の中で、監督と出会えなければ、今の自分はなかったはずですから。
 
 だから、チームがここから上がっていくこと。それがミシャへの恩返しになる。正直、気持ちの整理がつかなかったので、(解任が決まったあと)まだミシャとは話をできていません。近々、落ち着いたら、ちょっと直接会って、話をしたいなと思っています」
 
 ペトロヴィッチ前監督のことを「僕にとっては父親と言える存在」と言ってきただけに、今回の解任劇を受けて「何年かぶりに嗚咽するほど泣いてしまった」という。
 
「サッカーどうこうよりも、人として、素晴らしかった。頑固さもあるけど、外国人監督の中でも日本人のサッカーを知ったうえで取り組んでくれた面では、ミシャが一番だったのではないかと思う。それだけに結果を出せず、申し訳ない気持ちしかないです」
 
 そして、これもなにかの因果かもしれない。リーグ戦の無敗記録が続くなか、開幕の横浜戦以来の黒星を喫し、そこから悪循環にハマってしまった。その端緒となるのが、4月30日の大宮戦――さいたまダービーだった。
 浦和はその大宮戦から、リーグ戦3勝1分8敗と急速に低迷。しかも、12試合連続で失点が続いている。

 そして堀体制の初陣が、再びさいたまダービーだ。8月5日、ホームで大宮と対戦する。柏木は「必勝」を期す。

 「ここをきっかけに、サポーターの皆さんたちと勝つことによって、またぐっと上に行けるチャンスでもあると思っている。みんなの力を合わせて勝利を勝ち取ることがすごく大事」
 
 そのように次節の戦いへの想いを語った柏木は、次のように続けた。
 
「もちろん、そう言ってきて勝てなかったわけだけど、一人ひとりが冷静になって練習から取り組み、そのなかから堀さんが選ぶことになる。これまで試合に出ていた選手も関係なくフラットな状態から、堀さんが見て試合で戦える、勝利に導ける選手を選んで臨む。ゼロの状況から練習のなかでしっかり戦っていきたい」
 
 リーグ戦の巻き返しはもちろん、まだACL、ルヴァンカップもベスト8、天皇杯は4回戦に進み、タイトル獲得のチャンスは十分ある。2011年のJ1残留争いをした際、柏木は堀体制下で戦った経験を持つひとりだ。浦和の背番号10が輝くことで、チームを力強く浮上させたい。 
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)