過去2大会、市立船橋の後塵を拝してきた。リベンジを期した関東一は、今回のインターハイ準々決勝でもあと一歩のところまで王者を追いつめたが、惜しくも1−2で敗北。小野貴裕監督は「選手たちは堂々と戦ったが、まだなにが足りないということでしょう」と語り、悔しさを噛み締めた。

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 関東一を8強に導いた立役者のひとりが、2年生GKの北村海チデイだ。市船戦では2失点を喫したものの、GKにとってはほぼノーチャンスの展開だった。前半13分には、相手FW福元友哉の強力シュートを鮮やかにブロック。安定感はこの日も抜群だった。
 
 その名前と風貌から、ピンと来た方も少なくないだろう。先の選手権開幕戦の後半途中にスクランブル出場を果たし、好守連発で見事に勝利を呼び込んだあのルーキーだ。今季は新チーム発足から正守護神の座を確保し、身体能力を活かしたダイナミックなセービングに加え、的確な指示や状況判断、飛び出しのタイミングなど、ベーシックな技術を飛躍的に向上させている。
 
 今大会でも存在を際立たせたが、本人に総括を求めると、口をつくのは反省の弁ばかりだ。
 
「今日はぜんぜんやれてなかったです。2点を取られたのは事実ですし、あの時間帯にもっと僕が上手く守備をコントロールできていたら、結果は違っていたかもしれない」
 
 父がナイジェリア人、母が日本人のハーフプレーヤー。サイズは1?74?・65?とGKにしては小柄だが、それを補って余りある跳躍力が自慢だ。春先から強豪校との対戦を重ねたことで、急加速的に総合力を高めた。
 
「フェスティバルで前橋育英や青森山田、長崎総科といった強いチームと対戦して、自分になにが足りないのかを思い知らされた。今大会でも全国のレベルがどういうものかを体験できたんで、これからの成長につなげられればと思います。チームを勝利に導けるような存在にならないといけない。ビルドアップのところもまだまだ課題です」
 

 小野監督にも訊いた。チデイのどういったところに進化を感じているのか。
 
「今年はずっと試合にも出てるし、彼自身の能力をちゃんとゲームで出せるようになってきた。僕はまったく心配してない。根っから陽気な子ですし、話していても分かると思うんですが、人の好さが伝わってくる。あのまんまの子です。でも、ゲームのなかでは弱さがまるで出ない。だから本番に強い。こういう舞台でも怪我なく安定してプレーできるのも、彼のポテンシャルなのかなと思います」
 
 シーズン後半戦、関東一が目ざすのはT1(東京都リーグ1部)での巻き返しからの優勝、プリンスリーグ関東への昇格、そして選手権での躍進だ。そのいずれも、北村の大車輪の活躍なくしては果たせないだろう。
 
「攻撃力は本当にすごい。だから僕を含めたディフェンス陣がしっかりゼロに封じれば、勝てないチームはないと思うんです。今年の“カンイチ”はもっとやれるんです」
 
 その声価はさらに高まった。北村海チデイは間違いなく、今年の高校サッカー界指折りの守護神だ。
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)