[日本クラブユース選手権(U-18)決勝]FC東京U-18 2-0 浦和ユース/8月2日(水)/味フィ西
 
 たった1本だった。公式記録に記されているシュート数「前半0、後半1、計1」という数字。79分にFC東京U-18の久保建英が、この試合で自身唯一となったシュートを放った。それがゴールネットを揺らし、チームの大会連覇を引き寄せた。
 
「昨年に続いて2年連続で、ある意味でホームと呼べる西が丘(味の素フィールド西が丘)で優勝できたことはとても嬉しいです。
 
 小林(幹)選手からノールックで良いパスが出てきたので、突いて、流し込むだけでした。昨年から小林選手とは良い関係を築けていて、自分がパスして決めてもらったり、逆だったりというのが今まで何本もありました。(ボールが)出てくるだろうな、と信じていました」
 
 だが、この一撃は難産だった。パスを回す、全員が動く、崩す、シュートを打つ。チャンスは前半からいくつも作った。スタンドを沸かすような決定機も多かった。それでもゴールが割れない。
 
 最終的にチームとして16本のシュートを浦和ユースに浴びせるわけだが、前半だけでその数は9本(浦和は前後半ともに3本の計6本)。「いつか入るだろう」という雰囲気は、「外し続けたら相手に流れがいくのではないか」というプレッシャーとなって圧し掛かる。
 
 それを作り出していたのが浦和ユースの高いインテンシティ、寄せの激しさ、切れない集中力、全員が最後まで身体を張り続ける姿勢だった。久保は振り返る。
 
「最初から仕掛けていこうというイメージを持っていたんですけど、前半はひとり抜いたあとに余裕ができてしまった。そこでスピードを上げきれなかったり、橋岡(大樹)選手に身体を入れられていました」
 
 こうした流れを経て「スペースが生まれたらスピードに乗って侵入しよう」と決めて臨んだ後半も、決して上手く事が運んだわけではない。ハマっていた守備を外されるシーンが増加するようになり、むしろ浦和ユースの攻勢が目立った。
 
 だからこそ、久保の先制弾には価値がある。「77分に嫌な位置で相手のFKがあった。そういう苦しい時間帯に決められた。それに残り時間が少ないなかでゴールできたというのは、勝ちに近付いたということでもあります。その分、喜びが大きかった」
 83分に小林がPKを冷静に流し込んで2-0。その後はスコアが動かずに主審の笛が試合終了を告げている。結果として、久保の先制ゴールが決勝点となった。
 
 チームにとって大きな得点だったわけだが、「ここ最近、結果がすべてだと思い知らされることが多かった」という久保にとってもある意味で重要なものだった。
 
「今日はシュート1本でしたけど、しっかりと決められました。1点は1点。良い意味で『結果がすべて』だったのかなと思っています」。FWとして勝利に直結する働きをした――。その自負が、その言葉を選ばせたように思う。
 
 U-20日本代表に飛び級招集されて臨んだ5月のU-20ワールドカップでも、プロに混ざって参戦しているJ3でも、今大会でも、不本意だと感じ入るプレーがあったのだろう。「ゴールが、アシストが」と周りに言われることで忸怩たる想いも抱えただろう。
 
 注がれる視線に負けず、周囲からの期待に飲み込まれず、久保は「結果」で測られる世界において、望まれるような「結果」を出した。「持っている」などという簡単な言葉で絶対に括ってはならない。彼の成長の証であり、努力の結晶なのだ。
 
「昨年、自分は決勝の舞台に20分ほどしか出場していません。それが今年はフルで出ることができた。そこは明らかに『時間』という点で目に見える成長を感じられました。
 
 あとは試合のなかで先輩たちに支えてもらって、作ってもらったチャンスで自分が仕掛けるという形が昨年の自分でした。ただ今年は、自分がチャンスを作るという意識でプレーしてきました。得点の取れない試合もありましたが、決勝で取れて良かったと思います」
 
 最後の最後、久保は今後の目標を問われた。数秒考えて、こんな気持ちを口にしている。「今後の目標を決めてはいませんが、毎日一生懸命にやっていれば何か壁にぶつかるでしょうし、目標も出てくると思います。ただ今日は、今日だけは喜びに浸っていたい」
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

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