インターハイで一大旋風を巻き起こした長崎総科大附。惜しくも準々決勝で流経大柏に逆転負けを喫したが、まさしく全盛時の国見を彷彿させる走力とメンタルタフネスを前面に押し出したサッカーで、真夏のトーナメントを大いに盛り上げた。
 
 その先頭に立ってぐいぐいとチームを引っ張っていたのが、U-20日本代表FWで主将の安藤瑞季だ。自身は1回戦の徳島市立戦で2アシストをマークすると、そこから3試合連続ゴールをマーク。この世代屈指のストライカーであることを再確認させた。

【インターハイPHOTO】流経大柏vs長崎総科大附は前者に軍配!
 
 大会中はJクラブのスカウトが大挙して視察に訪れ、安藤自身も「高卒でのプロ行きが僕の目標です」と言い切る。だが、まだ進路は決まっていない。長崎総科大附の小嶺忠敏監督は、「わたしはあまり口を出すつもりはない。まずは方向性だろうね。進学なら進学。JリーグならJリーグ。本人、家族、(学校の)担任でよく話し合ってから。チームがどうこうと言うのは方向性が定まってからでしょう」と説明した。
 
 では、ストライカー・安藤のポテンシャルを、名将はどう見ているのか。昔から選手のことを、滅多なことでは褒めない方である。
 
「フィジカルは強い。大学チームのどことやっても、たとえば九州の1部とやっても十分いける。これはいける。ただ、パワーだけの選手はたくさんいるわけだから、そればかりでは壁にぶち当たるでしょう。まだまだイージーミスが多いですよ。なにより、ボールを無くすのはいかん。このレベルで失っていてはいかん。ボールを受けたなら、突破するか、味方に預けるか、預けるなら次にどう動くべきか。このあたりをしっかり判断できないといけない。ゴリ押しばかりだったことを思えば、いまは周りを使う意識が芽生えてきましたがね。まあ、かなり強く要求しないといけません。じゃないと、このままで終わってしまう」

 メンタル面の成長についてはどうだろう。春先から安藤は、U-18、U-19、U-20と3つの世代別代表の活動に参加。日本高校選抜の一員としての海外遠征にも臨み、忙しくも充実の半年間を送った。
 
「精神面は、まあまあ良くなったね。いろんな代表に行って、お山の大将じゃなくなった。上には上がいるというのを知れて、謙虚になってきた。海外遠征に行ったことで学べたんだと思う。まあ個人のわがままなところというのは、だいたい注意すれば改善される。むしろいまは、ほかの選手が(安藤に対して)遠慮し出してる。ここはわたしが、夏休みの間に修正しなきゃいけないところです」
 
 これまで、?木琢也、船越優蔵、大久保嘉人、平山相太、渡邉千真ら数多の本格派ストライカーを育ててきた名伯楽。厳しい注文のなかにも、そこかしこに愛情が散りばめられている。それもこれも、安藤の将来をおもんばかってのことだ。
 
 本格化する生粋のストライカー、安藤瑞季。高校生活の残り半年で、どんな成長曲線を描くのだろうか。
 
 名将の庇護のもと、末恐ろしい大器は着実に進化を続けている。
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)