9年ぶりに全国高校総体(インターハイ)を制した流経大柏。強気なプレーで鳴らす男が、ピッチの上で人目を憚らず号泣した。
 
 その涙の主は、U-17日本代表CB・関川郁万だ。
 
「涙を流したのは本当に嬉しかったから。1年からプレーをしてきた大好きな先輩たちと一緒に優勝できた」
 
 大会を通じ、空中戦で圧倒的な強さを誇った。攻めてもセットプレーなどから得点ランク2位タイの4ゴールを奪取。身体能力の高さを攻守両面で余すところなく見せつけ、チームの優勝に大きく貢献した。

【総体決勝PHOTO】流経大柏が9年ぶり2度目の優勝! 2年生MF熊澤が決勝弾
 
 昨年も1年生ながら決勝のピッチに立った関川。当時は連戦による疲労と怪我の影響で思うように動けず、本来のパフォーマンスを発揮できなかった。結果、チームは県下最大のライバル・市立船橋に惜敗。目の前で凱歌を上げられ、悔し涙に暮れた。
 
 それだけに、今大会に懸ける想いはひと一倍強かった。「去年みたいな後悔は絶対にしたくない」と宣言。リベンジを心に誓っていた。
 
 初戦(2回戦)からエンジン全開、ハットトリックを達成した。身体能力の高さを活かした守りだけではなく、左右の足から繰り出す良質なフィードに進化の跡を覗かせる。
 
「サポートメンバーがいつもセルヒオ・ラモスの動画を持っていて見せてくれるんですよ。でも今日は同じバスじゃなかったから、良いイメージを作れなかった(笑)。そこで音楽を聞いてモチベーションは上げたんですけど……」
 
 本人がそう振り返ったように、決勝ではいまひとつ満足のいくプレーができなかったが、要所では相手に自由を与えず、攻撃をシャットアウト。最後まで集中力を切らさず、無失点でゲームを締めくくった。
 
 自身初の日本一にも、浮かれた様子はない。
 
「今日は自分の調子が悪かったけど、悪いなら悪いなりに声を出していくとか、そうしたところをもっと改善しないといけない」と反省しつつ、「セットプレーでは相手の脅威になれたと思うけど、ロングフィードとかは高1の頃に比べたらけっこう良くなっている。もっとすべての能力を伸ばしていきたい」と意気込んだ。
 
 得点王になれなかったことについては、やはり悔しさを滲ませた。
 
「個人的には得点王が懸かっていた。そこで点が取れなかったのは、いまの僕の弱さです。(単独得点王となる)2点はさすがに出来すぎかなと思ったけど、1点は取らなきゃいけなかった。苦しい場面でもセットプレーから取らないといけない」。
 
 強力なチームとの連戦を経て、高校サッカー界屈指のストッパーは貴重な経験を積み、夏の栄冠を掴んだ。ひと回りもふた回りも逞しくなり、揺るがない自信へと繋げた。10月に幕を開けるU-17ワールドカップへのエントリーを視野に入れつつ、ギアを目いっぱいに上げて、さらなる成長を期す。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)