ネイマールのバルセロナからパリSGへの移籍は、現地時間8月3日に発表され、4日には加入会見が開催された。しかし、「カネ」に関するトラブルはまだ終わっていない。
 
 ひとつ目の論点は、契約解除違約金だ。パリSGはバルサの契約書に盛り込まれていた2億2200万ユーロ(約284億円)というサッカー史上最高額を支払ってブラジル代表FWを引き抜いたが、バルサは当初から「その金額を出せばFFP(ファイナンシャル・フェアプレー)違反にあたる」と反論してきた。
 
 結局、3日にネイマール名義で違約金が支払われたが、バルサは「クラブはこの取引に懲戒責任が生じる可能性があると考え、この案件に関する詳細をUEFAに報告するとともに判断を仰ぐ」との声明を発表した通り、いまだにこの取引に納得していない。
 
『フォックス・スポーツ』など複数の現地メディアは、パリSGのオーナーであるカタール政府系投資ファンド『QSI(カタール・スポーツ・インベストメンツ)』が、2022年カタールW杯大使の報酬としてネイマールに2億2200万ユーロを渡し、それをバルサに支払ったと報じている。また、同W杯組織委員会からカネが流れたという説もある。
 
 このいわば“抜け道”がFFP違反に当たるのか否か、UEFAがこれから調査を進めることになるだろう。
 
 もうひとつは、契約更新ボーナスだ。バルサは昨年10月にネイマールと契約延長した際、2600万ユーロ(約33億2800万円)の支払いを約束した。7月31日までバルサに所属していればそれがネイマールに転がり込むため、選手サイドはそれまでダンマリを決め込み、8月になってからパリSG移籍への正式手続きを始めたと言われていた。
 
 しかし、バルサは更新ボーナスをまず公証人に一旦預ける。さらに『ESPN』などによると、4日の記者会見でクラブ広報のジョゼップ・ビベスが、契約違反があったとして2600万ユーロの支払いはありえないと語ったという。
 
「ネイマールとの契約には3つの条項があった。1つは、選手が7月31日まで他のクラブと移籍交渉を行わないこと。 2つ目は、契約を守るという方針を公の場で明らかにすること。 そして3つ目は、9月1日まで別のクラブに移籍しないことだ。これらの基準が満たされなかったのだから、バルサがネイマールにボーナスを支払うことはない。お金はもはや公証人のところにはなく、クラブに戻っている。どんな移籍にも苛立ちを伴うが、それが選手サイドの一方的な意思だった場合は、なおさらだ」
 
 ちなみに、ネイマールは2013年夏にサントスからバルサに移籍した時も、「カネ」に関して大きなトラブルを起こしている。
 
 バルサは当初、移籍金を5710万ユーロ(約73億円)と発表。そのうち、4000万ユーロがネイマール一家、1030万ユーロがサントス、680万ユーロがネイマール保有権の40%を持っていた『DIS』に渡った。
 
 しかし、本当の移籍金は8820万ユーロだったと後に明らかになる。DISはネイマール、バルサ、サントスが結託して、自分たちへの配当金をごまかしたとして裁判を起こした。
 
 バルサは早々に罰金処分を受け入れ、さらに昨年11月にスペイン検察は、ネイマールに詐欺罪で罰金1000万ユーロと禁錮刑2年(執行猶予付き)、当時のバルサ会長だったサンドロ・ロセイに禁錮刑5年の求刑を下している。
 
 また、サントスも契約手付金を隠していたこと、さらに約束されていたボーナスが支払われていないこと、そして約束されていた親善試合が開催されていないことなどを理由に、ネイマール親子とバルサを幾度となく批判している。
 
 サントスはネイマールが9歳から育ったクラブだが、すでに関係はほぼ破綻。南米出身の選手は、全盛期にヨーロッパで活躍した後、晩年に出身クラブに戻るパターンが多いが、今年7月に本人は「いずれフラメンゴでプレーしたい」と将来的な移籍先に国内のライバルクラブを挙げているほどだ。
 
 ネイマールは4日のパリSG移籍会見で、「僕はお金について考えたことはない。自分の幸せ、そして家族の幸せだけを考えている。自分の心に従って動いている。もっとお金が欲しければ他のところにいるよ」とコメント。しかし、移籍の度にカネにまつわるトラブルが勃発しているのは事実で、今回も一家に対する風当たりは強い。
 
 このままではサントスと同じく、バルサとの間にも遺恨を残してしまう可能性は高い……。