親善試合のジローナ戦で決勝点を挙げるなどハイパフォーマンスを披露した柴崎岳に対して、一夜明けた8月6日も賛辞の報道が相次いだ。
 
 なかでも大きく紙面を割いて特集を組んだのが、スポーツ紙の『VAVEL』で、ヘタフェの担当記者が特大の期待を込めて、熱くレポートしている。
 
「ガク・シバサキは明らかな違いだ。彼は間違いなく、南マドリードにファンタジーを運ぶだろう。テネリフェのサポーターを楽しませたゴール、アシスト、ドリブル、創造性はいずれも本物だったということだ」
 
 記者はそうとうの日本通なのか、芸術に精通しているのか、こんなユニークな表現で柴崎を称えている。
 
「テネリフェに来た当初はスペインの風土や気候、食べ物に馴染めず、なによりホームシックもあったと聞く。だがそれらを克服するのにさして時間はかからなかった。すぐさま彼はブーツを履き、タイカン・ヨコヤマのような美しい絵画をピッチに描き出したのだ」
 
 スペイン語圏で「ブーツを履く」は、「心の底から楽しむ」という意味の慣用句。横山大観は言わずと知れた、近代日本美術の巨匠だ。
 
 さらには、ジローナ戦でのパフォーマンスに話が及ぶ。
 
「その前の2試合でもまずまずの内容だったが、3試合目のジローナ戦は圧巻だった。ヘタフェの攻撃を持ち前のテクニックでリードし続け、決勝点を挙げてシーズン初勝利ももたらしたのだ。あのゴールの場面。ガクはポルティージョとポジションを替えていた。つまりは“ニセの9番”でプレーしていたのだ」
 
 柴崎は78分、処理にもたつく相手CBからボールを奪って右サイドを抉り、豪快にGKのニアを抜いた。ホセ・ボルダラス監督は“ゼロトップ”の布陣を多用するため、今後も背番号10を前線で起用する機会が増えるかもしれない。
 
 そしてレポートはこう締めくくられている。
 
「ヘタフェは新たなアイドルを手に入れた。間違いないことだ。どこか息苦しそうにしていたチームを“呼吸”させたのがシバサキだった。きっとスタジアムに歓喜を運ぶだろう。日本のファンのスケジュール帳にはすでに書き込まれている。ヘタフェとエイバルの一戦が行なわれる日だ。エイバルには同じく日本を代表する選手、タカシ・イヌイがいる」