日本代表でも活躍する酒井宏樹が昨季、フランスのマルセイユでレギュラーの座を掴むうえで、なにより重視したのは「チームメイトとのコミュニケーション」だった。
 
「ハノーファーにいた頃よりも積極的に取り組んだおかげで、すんなり溶け込めました。年上の選手が多いからか、特に黒人選手には可愛がってもらえて。いろいろアドバイスしてくれます」
 
 同じDFのロド・ファンニ(元フランス代表)について「ロッカーが近くて、僕のことをひたすらイジります(笑)」と話す酒井だが、特定の誰かと仲がすごく良いというわけではなかった。要するに、「みんな」とコミュニケーションを取っていたのだ。
 
 そうした環境下で、チームメイトによく聞かれるのが「日本の文化、アニメとか」だった。
 
「例えば(フランス代表MFの)レミ・カベラは『テニスの王子様』の大ファンで、スパイクに主人公の名前(越前リョーマ)を刺しゅうしたりしています。『ルイ・ヴィトン』のバックに『ドラゴンボール』の何かをプリントしている選手もいますが、ちょっと勿体ないですよね(笑)。日本人の僕からすると、『それにプリントしちゃう?』という感覚です」
 
 ただ、日本人の感覚を押し付けるようなことはもちろんしない。酒井はむしろ、フランスの文化に馴染もうとしている。
 
「加入当初から『フランスを好きになろう』というスタンスでやっていたので、特に問題はなかったです。僕は外国人枠ですから、自分の世界に閉じこもったままだと孤立してしまう。だから、フランス語を真剣に学ぶことで彼らを理解しようとしたし、そうすると、向こうもフレンドリーに接してくれるようになる。要は、郷に入れば郷に従え、です」
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)