札幌はJ1残留できるのか――。
 
 札幌は中長期的な大目標として「J1定着」を掲げている。そして、5シーズンぶりにJ1復帰を果たしたこの2017年は、その目標達成の足掛かりとして「まずはどんな形でもJ1残留を果たしたい」と四方田修平監督は意気込む。
 
 そして残留圏ギリギリのリーグ15位で迎えた9日の横浜戦だが、試合を大まかに俯瞰すると、スコアこそ0-2で完敗だったものの、終始圧倒されたわけではなく互いに攻め合いながらの試合だった。個々の力の差や、ちょっとしたプレーの質の差が積み重なった結果、敗れてしまったというところだろう。
 
 昨季からの延長線上でもあるのだが、今季の札幌は基本的には守備時に全員が素早く帰陣し、全員守備で相手に時間とスペースを与えない。そうやって試合を膠着状態に持ち込むことで、充実した戦力や資金力を持つ強者たちとも互角に渡り合ってきた。
 
 結果として退場処分となって横浜戦の敗因のひとつとなってしまったものの、今季6得点でチーム得点王のFW都倉賢が自陣に戻ってのファウルで警告を受けたことからも、チーム全体として攻守の切り替えが徹底されていることが分かる。
 
 ただし、上位陣と互角に渡り合う一方で、下位相手にもなかなか勝ち切れないという現状がある。もちろん札幌は昇格組であるため、妥当とも言えるのだが、強者を脅かせるだけの戦いを演じているのを考えれば、少しもったいない気がしてしまう。C大阪や川崎を相手に引き分けたり、浦和を破ったりしている反面、甲府や新潟には少ないチャンスをモノにされて敗れている。
 
「開幕からここまで、どの相手とも接戦を演じることができている」と福森晃斗が振り返る通り、試合内容は安定しながらも成績が安定しないという歯がゆい日々となっている。接戦を落とし続けて6連敗という時期もあった。
 
 とはいえ、である。札幌ファンの方々はさておき、全国のサッカーファンの方々は開幕前の時点では札幌の戦いぶりをどのように予想しただろうか? 
 
 札幌はJ2優勝を達成して挑んだ2008年も、3位で昇格した2012年も、どちらもダントツの最下位で降格をしているという歴史から、今季も同様の展開を予想した人は多いのかもしれない。
 
 特に2012年などは9月中にJ2降格が決まったほどの戦績だったわけで、8月の時点ではおおよその結末が見えており、この原稿のように「残留できるか?」という話にさえ及ばなかったような気がしている。それに比べたらマシ、といった薄い話をするつもりはない。そうした悔しい歴史を経て、クラブとして着実に経験値を獲得してレベルアップし続けている過程が現在の姿である。
 
 そして、成績が安定しないと前述したものの、勝点を見てみると21試合を終えて19。次の試合に勝つことができれば、22試合で22になる。すべての試合で引き分けた場合の獲得勝点数と同数で、どの相手とも互角に渡り合ってきた試合内容がしっかりと反映された勝点数に届くわけである。
 
 もちろん、敗れた試合では相手に勝点3を献上しているため、それでオールオーケーとは言い切れないが、そのペースを維持できればリーグ戦を終えた時点で勝点34。昨季の順位表に照らし合わせると、残留は果たせていることになる。
 
 そして次節、対峙するのは勝点19同士の甲府だ。14位対15位の直接対決ということで、これはもう注目せずにはいられない。札幌はJ1に残留できるのか? その答えを左右する重要な試合である。
 
取材・文:斉藤宏則(スポーツライター)