仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第20回。テーマは「リーグ戦の連戦」だ。20節の鹿島戦から中3日で臨んだ21節の磐田戦。スタミナの消耗が激しい夏場に短期間で戦わなければならなかった。
 
 そんなゲームでフィールドプレーヤーの半数である5選手を入れ替えた渡邉監督は、どういう考えで判断を下したのだろうか。「うちのゲームではなかった」という試合内容とともに振り返ってもらった。
 
――◆――◆――
 
[J1リーグ21節]仙台 0-0 磐田/8月9日(水)/ユアスタ
 
 ルヴァンカップの際には、基本的に疲労を考慮して主力を休ませていたが、初の“リーグ戦”連戦だったのでメンバー構成にはかなり頭を悩ませた。
 
 20節の鹿島戦で出場時間の長かった選手は、21節の磐田戦までの中3日のうち2日をコンディション調整で過ごすことになる。そんななかで鹿島戦に絡まなかった選手の状態やフレッシュさを見極めてきた。
 
 そして最終的に前節から変えたのが「1トップ+2シャドー」「右ウイングバック」「左CB」の5枚だ。
 
 前線の組み合わせを考えた際にまず浮かんだのが、梁(勇基)の状態の良さ。スタートから使おうと決断するまで時間はかからなかった。その次に相性の良いクリス(クリスラン)と(佐々木)匠を同時に出そうと。
 
 ナオ(石原直樹)はコンディションを鑑みて先発から外した。彼にはここまでフル稼働とも言える働きをしてくれているが、昨季まで怪我でシーズンを通して戦うことがなかなかできていない。その負担を考慮したのだ。
 
 もちろん本人は「プレーしたい。連戦でも大丈夫です」と言う。それは選手として持っていなければいけない心構えなのだが、そこを諫めるのも監督の仕事のひとつだと思っている。
 
 右ウイングバックは(古林)将太から蜂須賀(孝治)へ。これも鹿島戦のパフォーマンスどうこうという話ではない。名古屋から移籍してきた将太は、古巣でそこまで試合に絡んでいたわけではなかった。体力的に連戦は難しいのでは、という判断があった。
 
 そして左CB。磐田戦前日の戦術トレーニングで、マス(増嶋竜也)の状態がすごく良いと感じた。さらに第2子が誕生して気持ちが充実し、気合いも入っているだろうと。そういった勢いを買ってあげたかった。
 ゲームは仙台のものではなかったと思う。中断期間に守備を改めて整備したり、戦い方の幅を広げる取り組みをしてきた。
 
 そして中断明けの2試合(19節・柏戦、20節・鹿島戦)では、今までの「強者相手でも自分たちでボールを保持しよう」ではなく、選手たちが「割り切って守ろう」と判断して戦った。
 
 柏戦は1-1、鹿島戦は0-2と結果を残せなかったが、選手の覚悟や自立した判断は尊重したい。
 
 ただ、磐田戦では「自分たちが本当にやりたいことはなんだ」と選手たちに問いかけて臨ませたからこそ、ボールポゼッションをもっと高めたかった。図らずも守りに重心がいってしまったことが悔しかった。
 
 これがシーズン序盤でまだ攻撃の形を構築している最中であるならば仕方ない。ただ、それがある程度は見えてきていた。だからこそ、プラスして「勝ち切るために守備も」と取り組んだわけだが、バランスが少し守備側に傾いてしまった。
 
 意識がディフェンスへと行き過ぎてしまったのは反省点だ。今まで積み上げてきたもの、やれていたことを当たり前のように取り戻したいし、思い出してほしい。
 
 次節の広島戦まで再び中3日。ただ、磐田戦も広島戦もホームで戦うことができる。移動がないため地に足を付けてトレーニングに励めるし、自宅で家族と過ごしてリラックスできるのは大きなアドバンテージだと思う。
 
 試合に向けて、磐田戦翌日の10日はすごく良いトレーニングができた。そういった選手の逞しさを見ると、「まだまだ仙台は上へ行ける」と強く感じられる。相手は森保一監督からヤン・ヨンソン監督へと体制が変わり、布陣が変更され、新しい選手も入っている。
 
 しっかりと分析して、良い準備をし、次こそユアスタ(ユアテックスタジアム仙台)でサポーターに勝利を届けたい。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は8月13日に行なわれる22節・広島戦の予定。お楽しみに!