鳴り物入りで加入しながら、期待外れに終わった「ダメ助っ人」を紹介する不定期連載。今回取り上げるのは、2003年の夏にナントからマンチェスター・ユナイテッドへと移籍したエリック・ジェンバ=ジェンバだ。
 
 03年といえば、そうクリスチアーノ・ロナウドがスポルティングからマンチェスター・Uへと移籍した年だ。18歳にしていきなりエースナンバーの「7」を与えられたポルトガル人FWほどではなかったにせよ、リーグ・アンで名を揚げた22歳のカメルーン代表MFへの期待は小さくなかった。
 
 アレックス・ファーガソン監督が望んだのは、31歳となり故障がちになってきたロイ・キーンの後継者としての役割だ。『ワールドサッカーダイジェスト』が発行している当時の選手名鑑には、「トータルバランスに優れたセンターハーフ」と紹介されている。キーンの後釜にはうってつけ、のはずだった。
 
 その才能を、しかし発揮することはできなかった。加入当初はスタメンで起用されたものの、プレミアリーグ特有のスピーディーなサッカーに順応できず、徐々に出番が減少。1年目はリーグ戦でわずか15試合(882分間)の出場に終わり、ゴールも奪えなかった。
 
 飛躍を期した2年目も開幕直後は先発のチャンスを与えられた。しかし、4節までに1勝2分け1敗とスタートダッシュに躓いたチームのまるで戦犯かのように扱われ、その後は1試合しか出場できず。その冬にアストン・ビラへ売却された。
 
 そのアストン・ビラでもほとんどインパクトを残せず、その後はカタール、デンマーク、セルビア、イスラエル、スコットランドなどのクラブを渡り歩いた。36歳となった現在は、スイスの2部リーグでプレーを続けている。
 
 09年のインタビューで、「これまで契約した選手でもっとも失敗だったのは?」と問われたファーガソンは、問題児として知られたスコットランド人MFのラルフ・ミルン(88〜91年にマンチェスター・Uに在籍)とともに、ジェンバ=ジェンバの名前を挙げた。
 
 40年近く監督業を続け、それこそ千差万別の選手と契約してきた名将が、真っ先にその名を出したのだ。失望が大きかったのは、裏を返せばそれだけ期待を掛けていたということだろう。