かつてイングランド・サッカー界に彗星のごとく現われ、時代の寵児となった「ワンダーボーイ」こと、イングランド代表FWマイケル・オーウェン。その後継者として、17歳のストライカーが注目を集めている。リバプールに所属するベン・ウッドバーンだ。
 
 7歳からリバプール・アカデミーでプレーしてきたウッドバーンは、15歳にしてU-18チーム入りを果たすなど、瞬く間に頭角を現わすと、2016年11月29日のリーズ戦(リーグカップ)では、トップチーム初ゴールを決めた。
 
 この鮮烈な一撃は、それまでオーウェンが保持していたクラブ史上最年少得点記録を19年ぶりに塗り替えるもので、ウッドバーンは偉大な先達よりも98日早い17歳45日で記録を更新した。
 
 その経歴から「新ワンダーボーイ」と称される俊英FWを、代表チームが見逃すはずがない。
 
 イングランド生まれながら、母方の祖父がウェールズ生まれであるウッドバーンは、ユースカテゴリーでウェールズを選択してきた。そんな彼をフル代表に招集するにあたり、ウェールズFAは同国最大のスターであるガレス・ベイルを話し合いの場に同席させるなどして、17歳を口説いた。
 
 代表指揮官のクリス・コールマンも、当然、この逸材を歓迎。今年3月のロシア・ワールドカップ欧州予選のメンバーに招聘した。
 
 その際には出場機会に恵まれなかったウッドバーンだったが、9月の代表戦にも招聘されると、同月2日に行なわれたオーストリア戦で69分から出場。そして、わずか5分後に強烈なミドルシュートを相手ゴールに突き刺した。
 
 殊勲の決勝点を挙げ、最高のフル代表デビューを飾ったウッドバーン。10月の代表メンバーにも招集されるなど、1958年のスウェーデン大会以来のワールドカップ出場を目指すウェールズにとって、早くも欠かせない戦力になりつつある。
 
 しかし、そんなウッドバーンの才能をいち早く見抜いたリバプールの指揮官ユルゲン・クロップは、「代表に呼ばれることは、選手にとってはとても大きいことだ。ただ、彼はまだ17歳だ。そうしたプレッシャーのかかる状況に置きたくない」と、愛弟子の代表招集に苦言を呈している。
 
 代表戦、しかもワールドカップ出場が懸かった状況となれば、そのプレッシャーは相当なものになる。それだけに、生え抜きを慎重に育てているクロップの意見は容易に理解できる。
 
 しかし、この熱血漢の意見に対し、代表指揮官は負けじと反論している。
 
 9月28日の代表メンバー発表でウッドバーンの名前を読み上げたコールマンは、「クロップは、たぶんベンに準備が足りないと感じているんだと思う」と前置きしたうえで、逸材が、いかなるプレッシャーにも耐えうると口にした。
 
「彼はリバプールのトップチームに所属し、あのアンフィールドでもプレーしてきたんだ。ベンは我々の下でも十分なトレーニングを積んでいたし、デビュー戦でもそれを証明しただろう? 問題はない」
 
 代表チームとクラブで食い違う「新ワンダーボーイ」への評価――。賛否が飛び交うなかで、ウッドバーンはいかなるプレーを披露するのか? 10月の欧州予選でウェールズを世界へと導く活躍に期待したい。