日曜日のプレミアリーグ10節、本拠地オールド・トラフォードにトッテナム・ホットスパーを迎えたマンチェスター・ユナイテッド。勝点で並ぶ上位同士の対決で、2位のユナイテッドにとっては宿敵マンチェスター・シティの首位独走を阻むためにも、負けられないホームゲームだ。
 
 試合は降りしきる雨のなか、一進一退のハイレベルな攻防が繰り広げられる。前半はやや守勢に回ったユナイテッドだったが、後半のギアチェンジで猛チャージを仕掛け、果敢に先制点を狙う。そして迎えた70分、“聖地”に異変が起こる。ジョゼ・モウリーニョ監督はマーカス・ラッシュフォードに代えて、アントニー・マルシアルを投入。試合後の会見で「(ロメル)ルカクが孤立していて、フォローアップする選手が必要だった」と起用の意図を説明したが……。沸き起こったのはホームサポーターからの容赦ないブーイングだった。
 
 連続ゴールを挙げていた生え抜きで人気者のラッシュフォードを下げ、公式戦4戦ノーゴールでブレーキになっていたルカクを継続起用したのが、気に入らなかったのかもしれない。8節のナショナルダービー、リバプール戦(0−0のドロー)で守備的な戦法を採ってサポーターの反感を買い、シーズン終了後のパリ・サンジェルマン監督就任の噂が急浮上するなど、指揮官の周りはにわかに騒がしくなっていた。
 
 しかし、試合はそのマルシアルが決勝点を挙げて見事に強豪を撃破。2位の座をキープし、シティとの5ポイント差を守った。タイムアップの瞬間、モウリーニョ監督はテレビカメラに向かって人差し指を口にあてるジェスチャー。「あまりにも多くのひとが我々について話している。騒ぎすぎだよ」と釘を刺し、ブーイングについてはこう話した。
 
「ブーイングしたいならお好きにどうぞ。彼ら(サポーター)はチケット代でカネを払ってるんだから、当然の権利だろう。それがブーイングされるべきじゃない選手に対してであっても、動物のように動き回るだけの選手に対してであっても、一向に構わない。もちろん、監督にブーイングしてもらっても結構だ」
 
 結果的に采配が的中して勝利したあとだけに、余裕しゃくしゃくといったところ。ユナイテッドへの愛情を公言してはばからないポルトガル人指揮官だが、サポーターとの間には微妙な隙間風が吹きはじめている。