11月10日、ブリュッセルでメキシコと3−3の大立ち回りを演じたベルギー代表。ロベルト・マルティネス政権下で14試合負けなしを継続中だが、いまだキラ星のごときタレントたちの能力を最大限に活かしているとは言い難く、その采配に疑問を呈する国内メディアが少なくない。
 
 試合の2日後、ベルギー・メディアの取材に複数の選手が対応した。その中のひとりが、マンチェスター・シティ所属のMFケビン・デ・ブルイネだ。プレミアリーグで絶好調を維持する攻撃的MFは、いまや赤い悪魔(ベルギー代表の愛称)においても不可欠な中軸である。
 
 そんなデ・ブルイネの口から飛び出したのは、まさかのダメ出しだった。現在のベルギー代表の戦術とシステムはディフェンシブすぎると苦言を呈したのだ。
 
「メキシコ戦を見たでしょ? あれがいまの僕たちの置かれた現状さ。5バック(実際は3−5−2システム)を並べるディフェンスなもので、メキシコの3人のアタッカーに対して待ち構えるばかり。じゃあ攻撃はどうか。こちらの5人に対してあちらは7人で、手詰まり感が半端なかったし、ボールポゼッションで後れを取り、リズムを作れないままだった。とくに守備から攻撃の切り替えがうまく行っていない。ディフェンシブすぎるんだ。戦術面ではメキシコのほうがよっぽど良かったよ」
 
 ベルギー代表の前線は、このデ・ブルイネに加えてロメル・ルカク、エデン・アザールと3人のワールドクラスを抱え、ほかにもミチ・バチュアイ、ドリース・メルテンス、ディボック・オリギなどまさに多士済々。強豪国の中でもトップランクのタレント力を誇る。だがそのストロングポイントが引き出せていないと、26歳のプレーメーカーは主張する。
 
「俺たちの自慢は攻撃力にあると思っている。みんなボールを欲しがるタイプばかりだけど、なかなかいい形でチャンスにまで持っていけないのは、全体のラインを押し上げられず、しっかりとしたビルドアップができていないからだ。連動性にも乏しい。ロベルト(マルティネス監督)とは何度も話しているし、俺なりの意見も伝えている。究極のところ、決めるのは監督だよ。それには従うけど、もうメキシコ戦のような試合はしたくないよね。解決を望みたい。大事なのは、ワールドカップで結果を残せるかどうかだから」
 
 負けないためのセーフティーな戦術を採用していると感じるのか、「俺は勝ちたい。勝って勝って勝ち続けることで得るものは計り知れないし、強い気持ちを維持できる」とも話したデ・ブルイネ。若い頃から歯に衣着せぬ物言いが有名で、数多のトラブルを引き起こしてきたが、ベルギーの全国紙『DH』は「まっとうな意見であり、どこか物足りなさを感じている選手たちの本音を代弁した」と、今回ばかりは擁護している。
 
 ベルギーはここ14戦負けなしで、内訳は10勝4分けという圧倒的なもの。だが、テストマッチを含めて骨のある対戦相手との戦績に限れば、オランダ戦(△1-1)、ギリシャ戦(△1-1、〇2-1)、ロシア戦(△3-3)、チェコ戦(〇2-1)、そしてメキシコ戦(△3-3)と、意外と苦戦を強いられているのが分かる。マルティネス政権下で、ワールドカップの優勝候補に挙がるような強豪国と戦ったのは一度きり。就任直後の2016年9月1日、スペインに0−1で敗れている。その次の試合から無敗を続けているというわけだ。
 
 はたして火曜日、ハリルジャパンとの一戦でデ・ブルイネと“悪魔たち”はどんなパフォーマンスを披露するのか。付け入る隙は十分にありそうだ。