現体制下で世界のトップ5に入るような国と対戦するのは、今回の欧州遠征が初。ブラジル、ベルギーとのテストマッチを通して、来年の本番を占ううえでも誰が通用しそうで、さらなる成長が求められるのはどの選手だったのか。
 
 クラブでのハイパフォーマンスが認められて、3年ぶりの代表復帰を果たした森岡亮太は、ブラジル戦、ベルギー戦でともに途中出場を果たす。プレータイムは限られていたが、独特のテンポで攻撃にアクセントを加えるなど、まずまずの働きぶりを見せた。
 
 ブラジル戦のアディショナルタイムには、酒井宏樹のクロスから浅野拓磨が決定機を迎える。この場面で、右サイドを走る酒井宏に供給した森岡のダイレクトパスは、スピードと距離、ともに完璧。その実力の一端を垣間見せた。
 
「守ってカウンタ―」の割り切った戦いがベースとなるハリルジャパンにおいて、攻撃の強度を上げたい時には貴重なカードになりそうだ。
 
 初招集の長澤和輝は、ベルギー戦でインサイドハーフとして代表デビュー&初先発を飾る。背番号25は、これがデビュー戦とは思えないほど落ち着き払ったパス捌きで中盤を形成。シンプルかつミスの少ないプレーで、潤滑油として機能していた。
 
 ただし、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「攻守にボリュームを出せる」と評価するほどのダイナミズムを創出できていたかと言えば、答えはノーだ。攻撃と守備、せめてどちらか一方でインパクトを残さないと、代表には定着できないだろう。
 
 中盤では、山口蛍がベルギー戦でのパフォーマンスで大きく評価を上げたはずだ。自陣のバイタルエリア付近で、危ないシーンには必ずといっていいほど顔を出し、何度もピンチを阻止。サイドを深くえぐってくる相手に対しても、アンカーの位置から勢い良く飛び出して潰しにかかる。豊富なスタミナを駆使して疾走するその存在感は圧巻だった。
 
 井手口陽介はブラジル戦で、不慣れなトップ下で奮闘。キックミスからマルセロに豪快なミドルを決められたほか、細かいミスも散見されたが、高い位置でのアグレッシブな守備は迫力があった。自身の起用法の引き出しが増えたことを考えれば、代表でのプレーの幅が広がったのは好材料だろう。
 
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 その他では、ニュージーランド、ハイチと戦った10月シリーズに続き、今回の2連戦でもCBで先発した槙野智章も、ハリルホジッチ監督に良い印象を与えたに違いない。
 
 ブラジル戦では、3失点目につながるクロス対応では力が及ばずも、CKからヘディングシュートを決めて、1ゴールを記録。ベルギー戦では体格差のあるロメル・ルカクと激しくマッチアップし、簡単には負けなかった。本人も「自分の良さをハッキリと出せた2ゲームだった」と良い感触を掴めたようだ。
 
 逆に、本領を発揮できなかったのが原口元気だ。クラブでは思うように出場機会を得られておらず、コンディションが万全ではなかったのか、ハードワークは健在も、持ち前の突破力は鳴りを潜めたまま。カウンターでの推進力も不足気味だった。
 
 久保裕也も今ひとつの出来だった。ボールを足もとに収めてから、敵をいなす技術は通用したが、局面でやや時間がかかりすぎ、囲まれて好機を逸するプレーが目についた。浅野のようにスピードを生かして縦に抜ききるより、カットインからのフィニッシュワークで怖さを与えるタイプなだけに、周囲とのコンビネーションをさらに深めていきたい。
 
 その浅野は、先述したブラジル戦のビッグチャンスをモノにできなかったのが痛恨だ。グラウンダーのクロスをしっかりとミートできなかったように、ハイレベルのスピードやプレッシャーの中でもブレない基本技術を身に付けなければ、ワールドカップでの活躍は難しいだろう。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)