2度目の選手権出場だが、昌平は優勝を狙う実力を兼ね備えている。そのチームで輝きを放つ点取り屋が、大宮アルディージャ内定の佐相壱明(3年)だ。
 
 4−2−3−1の最前線に入る背番号9の武器は裏への抜け出し。一瞬の動きで相手のマークをかいくぐり、危険な場所へと入り込む。また、174センチと大柄ではないが、相手を背負った状態でのプレーも得意。ポストプレーやキレのあるターンから好機を作り、自らゴールを決める術も持ち合わせている。

 変幻自在なパスワークが自慢の昌平には、山下勇希(3年)や渋屋航平(2年)など魅力的なアタッカーが揃うだけに、それを生かすも殺すも佐相の出来次第。彼の動き出しやタメを作るプレーがチームの攻撃に幅をもたらすうえで必要不可欠だ。
 
 今でこそチームの中心として活躍をする佐相だが、昨夏までは出場機会に恵まれておらず、ベンチを温める機会のほうが多かった。そんな彼がポジションを掴んだのは昨年の冬。選手権予選敗退後のリーグ戦から1トップのレギュラーに抜擢されると、躍動感のある動きを見せて藤島崇之監督の信頼を勝ち取った。新シーズンを迎える頃にはチームのエースを任されるほどに。佐相はその期待に応えるように春先から得点源として活躍を見せた。

 夏のインターハイ予選ではチームの全国行きに大きく貢献。本大会では2回戦敗退となったが、佐相は今季の高校年代を代表するストライカーに数えられるまでに成長を遂げた。

 すると、背番号9は自身の将来を左右するチャンスを掴む。夏休みに大宮の練習に参加することになったのだ。その時点で大学の練習会にも顔を出しており、「佐相は大学かなと思っていました」と指揮官も進学の可能性が高いと考えていた。しかし、練習だけでなく、トレーニングマッチに参加するチャンスを得ると、ここで大きなインパクトを残す。好プレーを見せたうえに、ゴールを決めてみせたのだ。これがきっかけで自らの足でオファーを勝ち獲った。

「練習試合があってそのあとにオファーをもらいました。その帰りの車で親と何回も話して、お前が決めるしかないという話をされて行くのを決めました」

 その帰りの車中で熟考したという佐相。大学サッカーという選択肢もあったが、両親の後押しもあってプロの世界に飛び込む覚悟を決めた。

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 埼玉県リーグ1部や選手権予選。その後も佐相はプロ入り内定選手として注目を集める中で結果を残してきた。そして、迎えた12月23日のプリンスリーグ関東参入戦・1回戦の矢板中央戦。選手権の3回戦で相まみえる可能性がある相手に佐相は積極的なプレーで攻撃をリードしたが、チームは0−2で敗れた。ボールを保持するところまでは良かったものの、身体能力を生かした相手の守りは想像以上に固く、最後までゴールをこじ開けられず。昨年に続き、プリンスリーグ関東への昇格を逃す結果となった。
 試合に敗れた後、誰ともしゃべらず、黙々とダウンを行なう姿が印象的だった。その表情は冴えず、悔しさがにじんだ。その理由を本人はこう語る。

「この試合に掛けていたというところと、選手権に向けてどうすれば結果を残せるかを考えていました」

 チームを勝たせたいという責任があったからこそ、誰よりも感じていた敗戦の責任。「背負うことばかりになっていて、背負うふりをして相手の背後を取ることがもっと出来れば良かった。自分としては対策されても点を取りたいと思っているので本当に悔しい」という言葉からも佐相の想いが伝わってくる。
 
 ただ、幸いなことにその悔しさを晴らす場がある。30日に開幕する選手権だ。「背後への動き出しを磨き上げて、少し下がった位置でボールを受けるようなプレーも出来るようにして、違う動き出しを出来るようになりたい」と選手権までに修正を誓った。大宮の練習へ参加した際に清水慎太郎のプレーから学んだという、動き出しやボールの引き出し方を実践できれば活躍は十分に可能だ。「インターハイの借りを返したい」というストライカーは本大会での爆発を誓う。

取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)