[天皇杯準決勝]横浜 2-1 柏/12月23日/等々力
 
 1-1で迎えた75分に途中交代、チームはその後延長戦で逆転弾を許して敗れ去った。チームにとっても、自身にとっても到底納得できる結果ではなかった。試合後、取材エリアに現われた伊東純也は、終始うつむき加減。それでも、言葉は少ないものの気丈に報道陣からの質問に受け答えた。
 
 「トーナメントなんで結果がすべて。負けてしまったので、今日は特に言うことはないかなと」
 
 ハモン・ロペスの豪快なミドルシュートで先制した直後の12分には、R・ロペスからのクロスに合わせ、決定的なヘディングシュート。しかし、シュートはこの日大当たりを見せた横浜守護神の飯倉大樹にビッグセーブで阻まれた。その後は、持ち前のスピードを活かした突破も再三見せたが、ゴールは生み出せず、前述したとおり後半途中にピッチを去った。
 
 柏の下平隆宏監督は、「前半から代表帰りの疲れもあったのか、あまり良いパフォーマンスではなかったと思う」と、先に行なわれたE-1選手権で頭角を現わした日本代表MFのプレーを振り返った。しかし、伊東自身は「(交代は)怪我などではなく、監督の判断で。自分的にはまだ行きたかったけど……」と体力的にはまだ余裕があった様子。不完全燃焼のままシーズンを終えることとなった。
 
 もっとも指揮官にしてみれば、伊東のパフォーマンスそのものに少なからぬ不満もあったようだ。
「代表から帰ってきて、自分がああいうこともできる、こういうこともできるという、少し欲が出てきたというか、チームプレーというより個人プレーに走っているようにも見えた。守備でもチームのためにどこまで(献身的に)やったかと言えば、物足りなさも感じた」
 
 当然ながら、途中交代には指揮官なりの理由があったというわけだ。ピッチ上の伊東に“慢心”があったかどうかはいざ知らず、下平監督は初代表でアピールに成功して戻ってきた教え子に、微妙な変化を見て取ったのかもしれない。
 
「伊東選手はこれからまだまだ成長できる選手。良い経験をして、もっともっと成長してほしい」
 
 そう語る指揮官にとっても、主軸を外しての敗戦は大きな痛みを伴うものだったに違いない。だが、シーズン最後に表出したこの痛みを糧にできれば、チームとしても伊東個人もまたひと回りスケールアップできるはずだ。
 
取材・文●長沼敏行(サッカーダイジェストWeb)