2017年夏はクラブ史上でも屈指の超大型補強を敢行しながらも、不振に喘いでいるのが、ミランだ。
 
 ヨーロッパリーグ(EL)こそ決勝トーナメント進出を決めたが、セリエAでは13節までに早くも6敗。14節終了後にはヴィンチェンツォ・モンテッラ監督が解任され、プリマベーラ(U-19チーム)を率いていたジェンナーロ・ガットゥーゾがトップチームに昇格したが、その後も1勝1分け2敗と振るわず、18終了現在で目標のチャンピオンズ・リーグ出場圏内(4位以内)から14ポイント差の9位に沈む。
 
 大きな課題のひとつが、決定力不足だ。シュートはナポリの262本に次ぐリーグ2位の249本を放ちながら、ゴール数は同11位の23得点。1ゴールを奪うのに10本強のシュートを必要としている計算で、1試合平均得点は1.28。上位を狙うにはあまりにも心許ない数字だ。
 
 ここまでフィニッシュを主に担うCFを任されてきたのは、ニコラ・カリニッチ、アンドレ・シウバ、パトリック・クトローネの3人。とりわけ結果を出せていないのが、フィオレンティーナから買い取り義務付きレンタルの計2500万ユーロ(約33億円)で加入したカリニッチ、ポルトから3800万ユーロ(約49億円)で獲得したA・シウバという両新戦力だ。
 
 現時点でレギュラーのカリニッチは、ポストワークのみならずフィニッシュも及第点以下。セリエAの16試合(先発14)で4得点という数字はエースとしてはいかにも物足りない。周囲とまだ噛み合っていないA・シウバはプレーオフで2ゴール、本選で6ゴールとELでは結果を残しているが、セリエAでは11試合でノーゴールと不発だ。
 
 一方、いわば希望の星と言えるのが、19歳のクトローネだ。先発は公式戦通算で11試合ながら(総出場は23試合)チーム最多の9ゴールを挙げているのだ。12月27日のインテル戦(コッパ・イタリア準々決勝)でも途中出場から延長戦に値千金の決勝ゴールを決めた。そのダービー後には次のように語った。
 
 ミラノ・ダービー後には「夢みたいだよ!僕はついこないだまでユースにいたのに、トップチームでミラノ・ダービーに出場して、サン・シーロでこうやって勝利とゴールを祝うことができるなんて。まだ信じられないよ! 僕はミランを愛しているし、なんとしてでもゴールを決めて勝ちたいという思いでピッチに立った。今回のゴールは家族に捧げたい」
 
 今シーズンのクトローネの137分に1ゴールという得点率は、カリニッチの293分に1ゴール、A・シウバの166分に1ゴールを優に上回る。現状のミランではもっとも「ゴールの匂い」がするストライカーと言っていい。
 
 ミランの下部組織出身で昨シーズンにプロデビューしたクトローネは、実績で上回るカリニッチとA・シウバが加入した今シーズン、出番が限られる可能性が高かったため、中小クラブにレンタルされると見られていた。しかし、プレシーズンからゴールを連発し、さらにEL予選やセリエA開幕戦でも結果を出したことで、モンテッラ前監督がスカッドに残していた。仮に手放していれば、ミランはもっと悲惨な状況になっていた可能性が高い。
 
 クトローネは18節のアタランタ戦では左ウイングで先発したものの、先のインテル戦でカリニッチが右足を負傷し、19節のフィオレンティーナ戦(12月30日)はCF起用が有力視されている。ここ数試合で結果を残し、カリニッチとA・シウバの奮起がなければ、一気にエースの座を奪い取っても不思議はない。
 
 ミランの「希望の星」となっている19歳の点取り屋に要注目だ。