1月4日、ガンバ大阪が、日本代表MF井手口陽介のリーズ・ユナイテッド移籍、ならびにスペイン2部のクルトゥラル・レオネサへのレンタル移籍を発表した。
 
「できるだけ早く行きたい」と海外移籍への想いを募らせていた井手口だけに、新天地での活躍は大いに期待されるところだ。そんな“浪速の銀狼”が、半年後に正式に加わることになるリーズとは一体、どんなクラブなのか。
 
 リーズの歴史は古く、誕生は1904年にまで遡る。当初、「リーズ・シティ」としてイングランド北部のヨークシャーで産声を上げたクラブは、第一次世界大戦中の1919年に選手たちへの違法な給与支払いが発覚し、強制解散を余儀なくされたが、その後、クラブを引き継ぐ形で現在の「リーズ・ユナイテッド」が発足した。
 
 そんなリーズは、今でこそ2部の中位に甘んじるクラブだが、これまでに3度の1部リーグ制覇の実績を持ち、黄金期を謳歌してきた古豪でもある。
 
 最初の黄金期は、1960年代から70年代にかけて訪れた。名将ドン・レヴィーの指揮下で、ビリー・ブレムナーやノーマン・ハンターなど、のちにクラブのレジェンドとなる選手たちが躍動し、2度の国内リーグ制覇(68-69、73-74)、さらにはFAカップ優勝(71-72)、リーグカップ優勝(78-79)と英国内のタイトルを総なめにした。
 
 その後、80年代は停滞期を迎えるも、90年代には再び勢いを盛り返す。ゴードン・ストラカンやエリック・カントナなど魅力的な攻撃陣がリーグを席巻し、現行のプレミアリーグの前身であるファーストディビジョンの最後の王者となった。
 
 そんな北の雄は、1990年代後半から2000年初頭にかけても隆盛を誇った。ハリー・キューウェルやリオ・ファーディナンドなど当時の俊英たちを揃えた「ヤング・リーズ」は、プレミアリーグでも優勝争いを演じ、2000-01シーズンのチャンピオンズ・リーグでベスト4に進出するなど大躍進を遂げた。
 
 しかし、栄光は長くは続かない。大型補強のツケが回り財政難に陥ったリーズは、主力選手の売却を余儀なくされ、2002-03シーズンに15位、03-04シーズンに19位と低迷し、ついに2部に降格。さらに06-07シーズンには2部でも最下位となり、3部への転落を余儀なくされた。
 
 その後もクラブは財政的な問題を抱え続け、2014年にはクラブを買収したイタリア人実業家のマッシモ・チェリーノがオーナーとなるも、前オーナーグループの役員報酬の未払いなど、金銭問題が明るみになり、一時は選手への給料の支払いが遅れるほど困窮した。
 
 そして現在、2部に属しているリーズは、アンドレア・ラドリツァーニ会長の下で再起を図っている。
 
 2017年1月にチェリーノから株式を買い取り、単独オーナーとなったラドリツァーニは、元日本代表MFの藤田俊哉を今シーズンからアジア地域のヘッド・オブ・フットボール・デヴェロップメントという役職につけ、世界的な視野でクラブに変革をもたらそうとしている。井手口は、その強化路線の一端を担う形での加入といえるだろう。
 現在2部で昇格プレーオフ圏内の6位に位置するチームを指揮するのは、デンマークとスペインのハーフであるトーマス・クリスティアンセンだ。
 
 現役時代に、“ドリームチーム”と呼ばれたヨハン・クライフ率いるバルセロナでもプレーしたクリスティアンセンのチームは、4-2-3-1を基本システムとするつなぐサッカーが特徴で、平均年齢は25歳と若い。
 
 井手口のポジション争いのライバルとなるのは、クラブの生え抜きでもある19歳のロナルド・ヴィエイラだろう。
 
 ギニアビサウにルーツを持つU-20イングランド代表MFの持ち味は、アフリカ系特有の高い身体能力を利したパワフルなプレーだ。攻守に幅広く動き回り、あらゆる局面に顔出しをする。昨シーズンは2部リーグで34試合に出場。今シーズンも11試合に出場し、レギュラー格としてプレーしている。
 
 はたして、井手口は実力派の若手とのポジション争いを制することができるのか? まずは、レンタル先のクルトゥラル・レオネサで欧州の雰囲気を感じ、手応えを掴みたいところだ。