[U-23アジア選手権]日本 1-0 パレスチナ/1月10日/中国・江陰

 “闘将”神谷と言うべきか。森保ジャパン立ち上げとなった昨年12月のタイ遠征に続き、10日に開幕したU-23アジア選手権でもMF神谷優太(愛媛)の左腕にはキャプテンマークが巻かれていた。その意味するところ、安くはあるまい。
 
「自分は五輪まで主力のつもりでやっていく」
 
 先のタイ遠征終了時、神谷はそんな言葉を漏らしていた。プレーでの手応えがあり、次の招集にも呼ばれるという自信があったからこその発言だろうし、自分自身へプレッシャーをかけていくような決意を秘めた言葉でもあった。
 
 U-23アジア選手権の初戦となった10日のパレスチナ戦。激しさを前面に押し出しながらピッチを縦横無尽に駆け回り、球際の激しい守備と周囲への声掛けで確かな存在感があった。タイ遠征では少し課題も感じられた井上潮音(東京V)との連係面も改善されており、この日の前半はボランチの裏を使われることも多かったが、途中から互いの位置関係を調整。森保監督の求める試合状況に応じ、柔軟性と対応力を発揮してもみせた。
 
「初戦に勝てたことはすごく大きいし、難しい中で勝てたことは自分の中でもホッとしている。自分たちのペースでやれたのは良かったと思う」
 
 勝利に「ホッとした」という言い方をする辺りは、チームの結果に対して強く責任を負う意識を神谷が持っていることの裏返しだろう。
 
「もともとチームをまとめる力は自分の中にあると思っていたので、今日も残り最後まで切らさずにみんなをまとめられたと思うし、みんながまとめたというのもある。一人ひとりがキャプテンのつもりでやっているので、そこらへんは自分も負担なくやっている。もっとチームをより良いチームにしていくように考えられれば」(神谷)
 
 全員がキャプテンというのは森保監督も好む言い方で、キャプテンマークを託す決定を神谷に直前まで伝えなかったのも、他の選手の意識が落ちるのを嫌ったからだろう。それは神谷は別に「お前がキャプテンだ」と言われなくとも、リーダーシップを執って引っ張ってくれるという信頼があるからこそだ。信頼していない選手に腕章を託す監督はいない。

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「でも(キャプテンになって)浮かれているようではダメ。いつ、前のU-20W杯の時のように落とされるかも分からないし、自分はそれをいつも心に持ちながら、危機感を感じながらやっている。(今日も)ひとつミスがありましたけど、ああいうところも後ろと合わせていかないと」(神谷)
 
 昨年5月のU-20W杯、アジア予選ではレギュラーとしてプレーしていた神谷の名前は、メンバーリストに入っていなかった。あまりにショッキングな決定は、神谷の中に深い自戒の心を刻み込んだ。調子に乗っているつもりはなかったが、どこかに緩みはあったかもしれない。

 その想いは、いま神谷が前に進むための原動力ともなっている。ひたすらチームの勝利に献身し、2020年の夏まで指揮官に必要だと思われる選手であり続けること。この大会でも、そのスタンスに揺らぎはない。
 
取材・文●川端暁彦(フリーライター)