インテルは今冬のメルカートで、やや遠ざかったスクデットへの希望を繋ぐため、そしてそれ以上に将来に繋がる投資となりえる若きタレントの獲得の可能性を探っている。
 
 ただしインテルにはまだFFPの縛りがあり、冬のメルカートでは移籍金収支をゼロ以下にする必要がある。誰かを売らない限り、補強はできないというわけだ。今冬の補強第一号だったリサンドロ・ロペス(←ベンフィカ)も、買い取りオプション付きの40万ユーロ(約5200万円)での半年レンタルというローコスト補強だった。
 
 換金対象であるジョアン・マリオやマルセロ・ブロゾビッチなどが売れて移籍金収支が何らかの形で解決されることを前提にすれば、最も欲しいのはマウロ・イカルディのバックアップとなるストライカーだろう。現状ではエースの控えが事実上不在だからだ。
 
 その第一候補と目されるのがラシン・クラブのラウタロ・マルティネスだ。アトレティコ・マドリーをはじめヨーロッパの有力クラブもすでに注目している20歳の逸材で、イタリアでもフィオレンティーナが獲得に意欲を燃やしている。
 
 獲得に必要な移籍金は、違約金とコミッションを合わせておよそ1200万ユーロ(約15億6000万円)だったが、争奪戦激化でさらに値段が釣り上がりそうな情勢だ。今のインテルにとっては簡単ではない。
 
 イバン・ペリシッチとアントニオ・カンドレーバの控えが心許ないウイングも強化ポイント。メインターゲットは昨年11月にアルゼンチン代表デビューを飾ったボカのクリスティアン・パボンだ。
 
 とはいえ、この21歳にはアトレティコ、マンチェスター・C、アーセナル、リバプールなども目を光らせているだけに、獲得のハードルは高い。それゆえ、インテルはここにきてウイングとトップ下をこなすラフィーニャにターゲットを切り替えた感があり、すでに買い取りオプション付きのレンタルでバルセロナとは基本合意済み。現在は買い取り額の詳細を詰めている段階だ。
 
 中盤はそもそも、ブラジル代表でも名を連ねるグレミオの21歳アルトゥールを狙っていた。ただ、この逸材に関してはバルセロナとレアル・マドリーをはじめメガクラブが争奪戦をしており、さらに違約金が5000万ユーロ(約65億円)と高額で、いまのインテルには手が届きそうにない。
 
 同じくブラジル代表歴のあるラミレスを、兄弟クラブである中国の江蘇蘇寧から借り受ける“グループ内レンタル”で中盤強化は手を打つかもしれない。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。