4年ぶりのACLに挑むC大阪が、劇的な勝利で好発進した。
 
 アウェーに乗り込んだグループステージ初戦の済州戦。どちらもチャンスを作りながら決めきれず、0−0のまま後半アディショナルタイムに突入した。杉本からフワリとしたボールがペナルティエリア内に入り、途中出場の高木俊幸が強引にシュートを放つ。これを相手GKとDFが譲り合ってボールが流れると、ミスを見逃さなかったのが水沼宏太だった。最前線まで走り込んでいた背番号7が無人のゴールへ流し込み、最後の最後で決勝点を奪った。
 
「自分は前半のチャンスを外していたんで……。ふたり(杉本健勇とヤン・ドンヒョン)が前に入って高さ勝負になって?後ろに走れば何かが起きるかな?と思っていた。それと、トシ(高木)はシュートを打ちにいける選手。?打って、どこかにこぼれてくるかな?と思いながら走っていた」
 
 激しい戦いだった。開始直後に松田陸が削られると、10分には柿谷曜一朗が潰される。徐々に両チームがヒートアップし始め、31分に清武弘嗣が倒された際には選手たちが詰め寄った。そして39分には、清武のファウルを巡って小競り合いが勃発。昨年のACL浦和戦で乱闘騒ぎを起こした済州との一戦は荒れた展開となり、ハーフタイムにユン・ジョンファンから「落ち着いてプレーするように」と選手に指示が送られるほどだった。
 
 そのなかで、水沼の頭の中は冷静だった。途中出場したヤン・ドンヒョンと高木の特長を踏まえ、ゴール前に走り込むことを意識していた。「一発目で陸(松田)がやられて。こういうガチャガチャした試合展開のほうが、ボールはこぼれてくると思っていた」と話したように、右MFとしてハードワークを続けながら戦況も見極めていた。90分を超えた時間帯でも衰えなかった走力。最後まで諦めない姿勢。それらの要素が思考と合致し、劇的なゴールにつながった。
 
 思えば、昨年末から常に歓喜の輪の中心にいた。天皇杯準決勝の神戸戦では、後半アディショナルタイムに起死回生の同点弾。元日の天皇杯決勝・横浜戦では、ミドルシュートで同点ゴールの起点となり、さらに延長前半5分にクロスから頭で決勝点を決めた。右サイドから正確なクロスを操り、昨季にアシストを何度も記録した水沼。"お膳立てをする男"は、昨季リーグ戦で3得点に止まったことを課題とし、"フィニッシュもできる男"に成長しようとしている。
 
「アシストもそうだけど、得点を取れるシーンが(昨季は)あったし、取れるシーンも前より増えている。(C大阪の)攻撃力はトップクラスだし、そのなかで自分の武器を出していければ。決めきるプレーを増やしていって、クラブに大きなことをもたらせたら」
 
 今季は期限付き移籍から完全移籍に切り替わった。背番号も「16」から「7」に変わった。名実ともに主力となった27歳は、さっそく新たなシーズンの重要な一戦でヒーローとなった。主将や副主将ではなくても、常にポジティブなマインドでチームを引っ張る水沼の存在感は、さらに増していきそうだ。

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