よもやの大金星に、スタジアムはまるで優勝したかのような、特大の歓喜に包まれていた。それも無理はない。今シーズンは3部に所属しているウィガンが、プレミアリーグを独走するマンチェスター・シティ相手に完封勝利を収めたのだから。
 
 現地時間2月19日、FAカップ5回戦で本拠地DWスタジアムにマンチェスター・Cを迎え入れたウィガンが、1-0で勝どきを上げたのだ。
 
 試合は立ち上がりから戦前の予想通り、アウェーチームが主導権を握った。スペイン代表MFのダビド・シルバ、アルゼンチン代表FWのセルヒオ・アグエロ、ドイツ代表MFのイルカイ・ギュンドアンら豪華メンバーが先発に名を連ね、前半アディショナルタイムにイングランド代表MFのファビアン・デルフが退場となり、数的不利を強いられたが、それでも彼らは80%以上のボール支配率を維持し続けた。
 
 防戦一方となったウィガンだったが、79分にその時が訪れる。右サイドでファウルがあったとセルフジャッジを下したマンチェスター・Cのイングランド代表DFカイル・ウォーカーが自身の下へ転がってきたボールを見送るもプレーオン。これをウィガンのエースであるウィル・グリッグが拾い、最後は倒れ込みながらシュートをゴール右隅に蹴り込み、値千金の先制弾をゲットしたのだ。
 
 結局、これが決勝点となり、ウィガンは大金星を手にした。試合後のピッチには興奮したホームチームのサポーターが大挙して押し寄せ、優勝したかのようなお祭りムードとなった。
 
 試合後、この試合のスタッツをまとめた英国国営放送『BBC』によれば、マンチェスター・Cは、ボール支配率83%を記録。さらに総シュート数は29本も放ったという。対するウィガンは、ボール支配率は17%しかなく、シュート数もわずか4本だけだったが、そのうちの1本を決めて勝利を掴んでいる。
 
 試合後、『BBC』の取材に応じたウィガンの指揮官ポール・クックは次のように歓喜のコメントを残している。
 
「とても素晴らしい気持ちだよ。試合は厳しいものだった。マンチェスター・Cはとても強く、ボールも巧く動かされた。ただ、我々は運に恵まれ、勝利に値するだけの仕事ができた。彼らを上回る部分はいくつかあったし、だからこそ勝利できたんだ」
 
“アンダードッグ(負け犬)精神”が好まれる英国サッカー界。それだけに現地各紙もウィガンに対して称賛を送っている。なかでも、堅い論評を書くことで知られる『Telegraph』紙は、勝者を手放しで褒めちぎっている。
 
「ペップのチームはどれだけ努力してもボールがネットに入ることはなかった。ウィガンは本当に素晴らしいし、確信に近かった予想を覆す、ある意味でカオスな勝利だった。ペップの4冠の夢は無残に打ち砕かれたのだ」
 
 圧倒的な差を見事に覆し、会心の勝利を挙げたウィガン。この勢いはどこまで続くのか。彼らは3月18日に行なわれる準々決勝でサウサンプトンと対戦する。