武藤嘉紀は、代表への思いをいつだってオープンに口にして来た。ハリルホジッチ時代、メンバーから外れれば大きく落胆した表情を見せ、「以前、大迫勇也は代表から外れた時間、家族旅行でリラックスしたらしいよ」と伝えると「えー、俺も旅行でも行こうかな」と笑いながら、でも本当に脱力した様子を見せた。

 武藤が高く評価されていたアギーレ時代は長く続かず、ハリル時代は他の選手が重宝された。怪我も多いが、結果も出しているはずなのに合点がいかない時期もあった。「もう、どうしたら良いんだろう」と漏らしたこともある。

 その武藤が、ドルトムント戦で今季8点目を決めた。チームの1部残留を決定づけるゴールだった。

 近年のブンデスリーガ日本人選手の得点記録で言えば、岡崎慎司がマインツ在籍時代の2013-14シーズンに15得点、14-15シーズンに12得点をマーク。この2シーズンの結果がプレミアリーグのレスターへと羽ばたかせた。香川真司は11-12シーズンに13得点で、これが自己最多。それに次ぐのが加入した10-11シーズン、半年間を棒に振ったものの8得点を挙げている。8得点というのは、そういう取れる人にしか取れないゴール数だ。

 得点ランクでは23位タイ。1部のチーム数は18で、33節終了時点でバイエルンの総得点は91、マインツは37、などということを考えると大健闘の数字である。もちろんマインツのチーム内得点王でもある。
 
 代表への思いが強くなるのは当然だ。
「もちろんワールドカップのことが頭から一瞬でも離れたことはないですし、(代表に)選ばれない時はホントに悔しい思いをしましたし。あとは自分が結果を出し続けて待つしかないかなって。まあ選ぶのは監督なので」

 ミックスゾーンで取材をしている間に、クラブのスタッフから「ビール飲むか?」という声がかかる。おそらくロッカールームでは、残留を祝いビールを飲んでいるのかもしれない。この日ドーピングコントロール(採尿して薬物摂取などを確かめる)の対象選手に選ばれた武藤に我々は「ビール飲んだら出るんじゃない?」と冗談めかしていうと「いやいやこんなところで飲んだら書かれちゃうでしょ? 誰かが(映像か画像を)アップするかもしれない」と水のボトルを受け取り口をつけた。笑わせながらも抜かりがない。
 
 今後、西野朗新監督のもとでプレーすることを楽しみにしている。
「自分を持っているし、戦い方でも戦術を持っている印象で、Jリーグの時の印象もとても良いですね。西野さんのもとでプレーできたら幸せですし、とても面白い、楽しみですね。戦術に関して、一貫性があるイメージです。(Jリーグ時代に見ただけで)自分が監督の下でやっているわけではないので。すごい楽しみ」

 あと1試合で今季が終わるのか。それとも2か月近くシーズンが続くのか。
「終わっちゃうとさみしい、悲しいですしね。ここで終わっちゃったら。2か月続いてほしいです」

 武藤にできるのは残る試合でさらに活躍し、日本代表メンバー入りへアピールをし続けることだけだ。

取材・文●了戒美子(フリーライター)