ロシア・ワールドカップに臨む日本代表メンバー23人が発表された。98年のフランス大会ではカズ、2002年の日韓大会では(中村)俊輔が落選するなど、過去の選考では様々なドラマがあったが、今回はサプライズはなかった。それだけに拍子抜けした人も多かったんじゃないかな。本田や長谷部ら予想通りの顔ぶれが並んだ。
 
 23人から漏れたのはリオ五輪世代の井手口、浅野、三竿の3人だ。その分、平均年齢は上がった。経験のある選手を揃えたと言えば聞こえは良いが、若手を外した明確な理由は分からないまま。西野監督は「能力のある選手」と井手口らのことを褒めていたが、クラブで出場機会を失っていただけにコンディション面に不安を感じたのか。でも、それは怪我を抱えていた乾らも同じだよね。選考の基準は曖昧で、「年功序列」と批判されても仕方ないよ。
 
 これだったらヨーロッパで逞しく成長した中島や堂安を入れたほうが将来のためになったはずだ。結局はハリルホジッチの時と変わらないメンバー構成だし、何のために監督を代えたのか分からないよ。
 
 GK以外の20人を一括りにフィールドプレーヤーとして発表した点にも驚かされた。こんなの前代未聞だよ。なぜポジションに分けて発表しなかったのか。槙野や吉田をFWで起用するプランでもあるのかな。なんのメリットがあるのか僕には理解できない。
 
 理由としてはどの選手をどのポジションで起用するのか、西野監督はまだ迷っているということなのだろう。例えばガーナ戦では長谷部を3バックのリベロ、原口を右ウイングバックで先発させたが、機能したとは言い難い。
 
 テストが上手くいかなかったのだから、西野監督は頭を悩ませているはずだ。ポリバレントな能力を重視して選考したというが、裏を返せば「この選手にはこのポジションを任せる」という明確な意思がないということだ。結局、西野ジャパンがどんなサッカーをしたいのか伝わってこないし、本大会を前にここまで全体像が見えないなんて異例だよ。きっと選手たちも混乱しているはずだ。

【日本代表PHOTO】ロシアW杯本大会に臨む登録メンバー23人
 それにしても西野監督の表情は冴えなかったね。明らかに緊張していたし、不安が伝わってきた。正直、これからワールドカップを戦う指揮官の顔ではなかったよ。メンバーを読み上げる声もどこか弱々しかったし、中継を見ていた人たちも心配になったはずだ。
 
 ユーモアを交えながらメンバー発表をしろとは言わない。でも、ワールドカップに向けて決意表明の場でもあったのだから、もっと熱い想いを表現してもらいたかった。「各試合でポイントを取りたい」とは話していたが、明確な目標は最後まで口にしなかったしね。惨敗した時のために予防線を張ったのか。
 
 前任者のハリルホジッチは独演会のようなスピーチを繰り返していただけに、西野監督になって時間が短縮されたのは良かったが、張り合いがなくなったのも事実だ。
 
 加えて記者との質疑応答でも噛み合わないシーンが多かった。これまでの会見でもそうだが、西野監督のコメントは語尾が不明瞭になるなど、理解しにくい部分が多い。あれではミーティングで選手たちに考えを伝えられているのか疑問に感じてしまうよ。
 
 ハリルホジッチはコミュニケーション不足で解任されたが、果たして改善されているのか。ガーナ戦を観る限り、状況は悪くなっていると思うね。
 
 今回の23人をどんなシステムに落とし込むのか、現状では想像がつかない。西野ジャパンとしてはガーナ戦を戦っただけだし、指揮官も3バックと4バックを状況によって使い分けるとの意向を示している。今後のスイス戦とパラグアイ戦でいくつかのシステムを試しながら、理想的な形を模索するはずだ。
 
 時間は限られているが、最善の準備をするしかない。西野監督がよく口にしている“日本らしさ”がどうやって体現されるのか注意深く見守りたい。
 
 それに厳しい状況ではあるが、ポジティブな面もある。大会を前に監督交代に踏み切り、やり方も変えたんだから、対戦相手を攪乱できているはずだ。僕たちだって先発メンバーを読めないんだから、特に初戦で対戦するコロンビアは困っているだろう。
 
 日本としてはその隙を狙うしかない。真っ向勝負をしても適う相手ではないし、情報戦を仕掛けて少しでも可能性を広げたい。今はそうやって一縷の望みに懸けるしかない。