存在感を示し、進化を証明した。

 グループリーグ初戦のコロンビア戦、スタメン出場した柴崎は、数的優位の状態を活かし、存分にその持ち味を発揮する。
 
「なるべく多くの回数、ボールに触ろうと思っていた」
 
 特に後半からは高いポジションを取って前線にパスを供給。柴崎がボールを持つと周りが動き出す。大会前、大島が入ると目されたダブルボランチの一角で、攻撃のスイッチ役を担った。
 
「相手の間、間に入っていきながら、良いテンポでボールを回せた。僕自身も、前への推進力を持ってプレーできたし、良い流れを掴めたと感じる」
 
 手応えを得て、「(勝負は)僕の出来次第」と言って挑んだ続くセネガル戦では、MVP級の活躍を見せる。「しっかりとつなぎ、連係を取りながらやろう」と、序盤はポゼッションを意識したが、「(相手は)予想以上に裏のボールへの対応が良くない」と気付いてからは、意図してロングボールを増やす。柴崎の確かな戦術眼と高度なスキルがなければ、二度のビハインドを追いつくことはできなかっただろう。
 
「勝てれば良かったけれど、ワールドカップはそんなに甘くない。勝ちに行ったなかでの貴重な勝点1。その最低限(の結果)をもぎ取ったことをプラスに考えて、次の試合に臨みたい」
 
 これまでも期待されながら、代表の主力には定着できなかった。急性虫垂炎や急性胃腸炎で辞退を繰り返し、再び評価を高めた昨年は、左足第五中足骨を骨折。不運に泣かされた。それでも柴崎は諦めず、ワールドカップを目標に一歩一歩前に進んできたのだ。
 
 グループリーグ突破を決めた後は、その表情には疲労の色が滲んでいた。だがそうした感覚も、ハイレベルな戦場に立っているからこそ味わえるのだと、柴崎はポジティブに受け止める。ベルギー戦では、正確なスルーパスで原口のゴールをお膳立てした。
 
「スペインでの苦労も、(自分自身の成長に)必要なことのひとつだった。良いことも、そうでないことも、すべてが今の自分につながっている」
 
構成●サッカーダイジェストweb編集部